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前ページ次ページゼロツカ ゼロツカ 第一話 川村ヒデオ ここは、どこだろう・・・ そう思うのも仕方ない事で、自分はいつものように職場へ出勤しようと玄関から出たのだ。 しかし、それはいつも目に広がる風景ではなく、地面に叩き付けられ、今自分は青空を見ている。 ずっとそうしているわけにもいかないと体を起こしてみると、よくよく周りを見れば周りには人がおり、かなり騒いでいた。 あまりに唐突な出来事に気がつかなかったのだろう。 「見ろよ!!ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!!」 「おいおい、召喚できなかったからってその辺から連れて来るんじゃねーよ」 待て、なんだこの状況・・・・なぜここに居る人達は動物を連れている? と言うより、明らかにただの動物ではないのもいる。 何よりこの状況はまずい・・・・引きこもり質の自分が話題の中心であり、注目を受けるなど耐えられるわけがない・・・・引きこもりを舐めるな! 目を適当に反らす、すると一人の少女がおり、なぜか震えている。 「先生!やり直しを要求します!!」 何を言っているのだろうか? やり直し?何か気に入らない事でもあるのだろうか? 先生と呼ばれた人に視線を向けてみると、見事な波兵禿ではないか、いや、頭の天辺に一本の毛がないのだから違うか? 「それは認められません、この使い魔召喚の儀式は神聖であり、それをやり直すなどと言う行為は認められません」 使い魔?ハハハ、何を言っているのだろうかこの波兵は・・・・これでは自分が使い魔として召喚されたみたいではないか、契約には少女の口づけでもあると言うのか?バカバカしい。 「しかし・・・!」 「それ以上何か言うつもりなら、退学処分になりますよ?」 「クッ・・・」 少女は、渋々と言った感じで了承し、自分の真正面に腰を落とす。 「か、感謝しなさいよ!こんな事、普通はないんだからね」 そんな事を言った少女は、こっちの唇に自分の唇をくっ付けてきた。 とどのつまり、キスである。 キスをされたヒデオは、頭を混乱させる。 この引きこもり人生の中で、キスなどと言うリア充の行為をしたことなどなかったからだ。 待て落ち着け!これは孔明の罠だ!!ありがとうございます孔明さん!!! などとアホな考えをした所で、自分の左手の甲に激痛を感じた。 「クッ・・・!?」 「安心しなさい、使い魔のルーンが刻まれてるだけよ」 使い魔のルーン?そう言えば、さっきからそう言う話をしていたなと考えていると、痛みも引いてきた。 一体何だったのだろうと、左手の甲を見てみると、そこにはよく分からない文字が刻まれていた。 「なんだ、これは・・・」 「さて、これにて使い魔召喚の儀は終了します。解散してください」 自分の理解が追いついていないのに、世界と言うのは勝手に進行するもので、周りの人間は動き出す。 「ルイズはちゃんと歩いて帰れよ~」 そんな声が聞こえたので、そっちの方を見てみると、空を飛んでいるではないか。 いや、自分だって色々見てきたさ・・・・でも人が空を飛ぶなどと言う事に遭遇した事などないため、驚く・・・・人でなくて良いのならあるが・・・・ 「じゃあ、私たちも変えるわよ。ついてきなさい」 ルイズと呼ばれた少女は、歩いて皆が飛んで行った方向へ歩いて行く、自分にあわせてくれているのだろうか? 何にせよ、自分にはついて行くと言う選択以外ないため、少女について行くことにする。 少女の部屋の前につき、少女は普通に入っていく。 だが、ヒデオとしては緊張していた。 女の子が自分の部屋に来ることはあっても、女の子の部屋に自分が入る事など今までなかったからだ。 「何をしてるの?はやく入りなさい」 「あ、あぁ・・・」 初めてのキス、初めての女の子の部屋、神様、自分はこんなにリア充体験をしてもいいのですか!? と、ここで気がつく、今の状況下ならば、自分に憑いている闇の精霊がツッコミの1つでもしてくるのだが、それがない、呼びかけてみても反応がない。 どういう事かと、また考え込み始めるが、少女に再度催促されたため、部屋に入る。 「で?あなたは誰?」 「僕は、川村ヒデオ」 「カワムラヒデオ?変な名前ね」 そんなに、変な名前だろうか? まあ、見た所、日本人ではなさそうだし、日本人の名前を聞きなれていないのかもしれない。 そして、ここでもまた何か引っかかったが、それを明確にする前に少女にとある事を言われる。 「ところであんた、さっきからなんでそんなに私を睨んでるわけ?自分の立場わかってる?」 ヒデオとしては、ただ普通にしているだけなのだが、実在した殺人鬼を凌ぐ目つきの悪さと生来の鉄扉面のせいで、他人にはそんな風にいしか感じられないのだろう。 「いや、そんなつもりはないのだが・・・」 「だったら、その目つきなんとかしなさいよ、完全にそうとしか見えないのよ」 生まれつきなのだから仕方ないだろうと言おうとして、とあるものに目が行く。 「その手に持っている物は?」 「貴族が杖を持ってちゃ悪いわけ?」 「いや、なぜ杖が?」 「魔法を使うために決まってるでしょう?あなた、魔法も知らないの?」 魔法なら、個性あふれる知り合いたちのおかげで知っている。 だが、それの誰もが杖を使って魔法を使ったところなど見た事がない、エルシアの魔道書はリミッターと言う話だから、違うだろうし。 そして、そこでさっき引っかかった事にようやく気がついた。 ここはどこだ?と言うより、本当に自分の知っている世界なのだろうか? 自分が知らないだけかもしれないが、少なくとも自分達の世界で、このような学校がある事など知らないし、貴族などと言うものは残っている所もあるが、形だけの様なものと聞く。 それに、たとえ貴族だったとしても、貴族=魔法が使えるなどという常識など、自分がいた世界には存在しない。 そこで、ここがどこなのか聞いてみることにした。 「ここは一体どこなんだ?」 「ここは、トリステイン魔法学院、さすがにトリステインぐらいは知ってるでしょう?」 「・・・世界地図か何か見せてもらえないか?」 「世界地図?まあいいわ、はいこれ」 手渡された地図を渡されて、愕然とする、それは今まで見た事もないような形の地形、そこには、トリステイン・ガリア・ゲルマニア・アルビオンなどと、聞いたこともないような国の名前が書かれていた。 夢かと思ったが、超愉快型極悪感染ウィルスを拾ったあの日から、非科学的な事にはたくさん遭ってきた。 それ故、今自分に起こっている出来事を夢という言葉で片付ける事は、ヒデオには出来なかった。 「何をそんなに深刻そうな顔をしてるのよ?」 さすがに、異世界などと言うものは初めての体験であり、驚きも大きかったのもあり、よほど深刻な顔をしていたのだろう。 今まで、機嫌を悪そうにしていた少女が、心配そうに声をかけてくる。 「い、いや・・・所で1つ聞くが、異世界と言うものがあると言われて、信じるか?」 「はぁ?異世界?あんた、頭大丈夫?」 出来るなら、この少女のこの言葉は聞きたくなかった。 つまり、自分は元の世界に変える方法がないと言う事なのだから・・・ 「ちょっとあんた、本当に大丈夫?顔色悪いわよ?」 「あ、あぁ・・・大丈夫だ・・・」 まずい、これは本当にまずい・・・今自分には帰る手段などなければ、この世界で生きていくためのすべもない、完全な詰み状態だ。 つまり、この少女から離れる事は不可能であり、元の世界に戻る方法を探すことが出来ないと言う事だ。 この少女が異世界の存在を知らないのだ、ちょっと足を運んだ所に手がかりがある可能性も低いだろう。 今、自分が生きるか死ぬかは、この少女の行動1つで決まる。 だがこの少女は、自分の事を使い魔と言った。 つまり、その使い魔の仕事を果たしていれば、捨てられるなどと言う事はないだろう。 だから、ヒデオは動く、生き残るために。 「ところで、使い魔と言うのはどういう事をするんだ?」 「あら?急にやる気を出したの?まあいいわ、使い魔とは、主人の目となり耳となる能力があるって言われてるわ・・・でもダメそうね、私はあなたが見ている物が見えないもの」 「たしかに、僕も君が見ているものは見えない」 「あとは、薬の材料をとってくるとか・・・私の護衛とかかしらね」 残念、僕の人生は終わってしまったようだ・・・まあ、一度終わった事があるんだがな。 とりあえず、自分にはこの少女に出来る事は何もなさそうだ。 「まあ、さすがに護衛ぐらいは出来るでしょう」 護衛?ハハハ、ご冗談を・・・引きこもりに一体何が出来ると言うのか? 精霊使いであるが、ロクなのを召喚できないのに? と言うより、召喚できる精霊の内の1人は、召喚したら社会的に死ぬ・・・もっと言えば、異世界に召喚出来るのだろうか・・・ 少なくとも、電気もなさそうなので、ウィル子など論外もいい所だろう・・・頼りのノアレはなぜか反応すら示さない・・・さようなら人生、こんにちは、二度目のクソゲークリア。 「何か黒いオーラ出てるわよ?まあいいわ、今日は疲れたから寝たいの、着替えさせて」 「は?」 待て待て、今この少女は何と言った?着替えさせて?誰に? 「聞こえなかった?着替えさせてって言ったのよ」 「だ、誰に?」 「あんた以外に誰がいるのよ?」 着替えさせる?これは新手のプレイか何かだろうか? いや、そう言えば貴族なんかは、使用人がいる場合、それに着替えなどをさせるそうだ。 これはそういう事だろう。 「わ、わかった・・・」 寝間着や下着を準備させられ、少女の服をすべて脱がす。 残りは下着を脱ぐだけとなったので、外に出ようとする。 「どこに行くつもりよ?私は着替えさせてって言ったのよ?途中で投げ出すんじゃないわよ」 待て、これ以上何をしろと言うんだ!? まさか、下着まで脱がすというのか?引きこもりにそんな度胸があるわけがないだろう! そうして、狼狽えていると、もういいとばかりに下着を脱ぎだしたので、一瞬で目をそらす。 その状態で待っていると、着替え終わったようなので、視線を元に戻す。 「それじゃあ、私は寝るけど、朝私を起こすのと服を選択して置いてちょうだい」 「それは構わないが・・・僕の寝床は・・・?」 「そこにあるじゃない」 視線をルイズが指さしている場所に向けてみると、そこには藁束があるだけだ。 「これが・・・?」 「そう、それがあんたの寝床」 冗談も大概にしろと思ったが、この部屋にこの藁束以外に寝れるようなところはなさそうだ。 つまり、これは冗談でもなんでもなく本気・・・冗談の方がまだ笑いがあったろうに・・・ 途方に暮れている間に、少女は布団の中にもぐり、よほどの眠かったのか、まだ日も高いと言うのに、すぐに寝てしまった。 とりあえず、ずっとそうしているわけにもいかないので、ヒデオは言いつけどおりに洗濯をしに行くのであった。 前ページ次ページゼロツカ
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朝起きて、まず一番にすべきことがある。 顔を洗う? 伸びをする? あくびをかみ殺す? 水差しの水を飲む? 用足し? 違う違う。 髪を梳く? 頬をはたく? ランニング? 意地汚くまどろむ? そうじゃないんだよね。 着替える? それはちょっと近いかも。でも正確には違うかな。 正解はまっさらなパンツを穿くこと。 睡眠という束の間の快楽を髄の髄までむさぼるために、わたしは就寝時パンツ穿かない派を通している。標榜はしていない。こっそりと続けている。 本来ならば、パンツを穿かないという行為は、メイジが杖を持たず戦場へ出るに等しい。 手荷物が一つ減るわずかなメリットに対し、自分の命を実質捨てているという高すぎるリスクを伴うんだけど、寝る時ばっかりは別。 どんな格好で寝てたって文句言われる筋合いは無いし、同衾するような相手がいたとしても、パンツが無くて恥ずかしいなんてことにはならない。 すでに臥所を共にしている時点で見るべきものは全部見られてるだろうしねえへへへへへ。 パンツという最強の防具かつ人間が持つ業の結晶ともいえる拘束具から解放されることにより、わたしはどこまでも深く深く潜っていく。 現実では本来の自分を見せることができないわたしに唯一許された箱庭――夢――の中、わたしは楽しむ。 時に○○○○○を×××××し、ほほほ、また時には□□□□□が△△△△で、むふっ、わたしとしては☆★☆★☆★☆★☆★……うっひっひっひ。 そう、夢は楽しい。寝る前につらつらと妄想に浸ることはもっと楽しい。だからといって現実を疎かにしていい理由にはならないけどね。 朝、目が覚めればパンツを穿く。その行為こそが現実への帰還、戻ってくる意思をあらわす。 パンツ一枚隔てた先にはファンタジーがある。それでもわたしは現実へ帰る。強く雄雄しく生きるために。 夢の世界を後にし、わたしは現実で戦う。走っても、風が吹いても、脚を上げても、見苦しいものが見える心配は無い。 あ、パンツ自体が見苦しいとかそういうことはないからね。わたしに似合う可愛らしさと金糸一本一本に丁寧な仕上げがなされた装飾性、家常茶飯邪魔にならない機能性、これらパンツに要求される全てを備えたクィーンオブパンツ。 キュルケ辺りに言わせればお子様パンツと言われるかもしれないけど、わたしに似合うという点で考えればやはりこれに落ち着くと思う。ちょっと悔しいけど、パンツの名誉のためにもわたしはそう思うんだったら。 しっかりと洗濯され染みの一つもないそのパンツを……別に洗濯しなくたって染みはないけど、穿く。 見事にジャストフィット。わたしのためだけに作られた芸術品ともいえるオーダー品を見て、パンツなんてただの布と言える人間がいるかしら。いるわけがないわよね。美しい物は美しい者にこそ相応しいってこと。 自分の容姿を鏡で確認し、自信をつける。明晰な頭脳を抜きにすれば、数少ないわたしの自慢できるものだもんね。これなら現実とだって戦える。 ちょっとポーズをつける。親指を噛んでみたり。四つんばいになって後ろを振り向く。両の腕で挟むようにして無い胸を強調。 「……何やってんのルイチュ」 鏡の向こうにわたしを見つめる一組二つの眼があった。振り向けばそこには一人の女。 「……誰?」 「誰ってねェ。昨日の今日でもう忘れたっての。あんたの使い魔だってば」 「あ、グェスか。……あんた今の見てたの?」 「大丈夫大丈夫、ご主人様の恥になるようなことは誰にも言わないって」 恥になるってことは理解してるのね。へえ。ふーん。ほお。くそっ。 昨日寝た時はサイズが合わないにもほどがある寝巻きを着ていたはずだ。そりゃグェスは細身だし、ネグリジェはゆったりした作りになってるけど、いくらなんでもわたしのは無理がある。 それでも本人は満足だったようで、サイズはギッチギチで膝小僧が隠れなくてもぐっすり寝ていた。 でも今は昨日もらった古着を着ている。ってことは……わたしはいつから見られてたんだろう。 問題ないよね? わたしの頭の中まで読まれたわけじゃないもんね? ね? 「ねえ、なんかアクセサリー的なモンない? できたらヘアバンド。この服じゃちょっとアレでさー」 昨日と同様に、グェスは許可も無く引き出しやクローゼットを漁っている。 この女は本当にもう余計なことばっかりで。こいつのせいで寝る前のおっぱい体操もできなかったし。背中と同じ胸になったらどう責任とってくれるのよ。 「あのねグェス。他人の部屋を勝手に探し回るってどういうことかしら?」 「気にしないでいいよ。昨日言ってたじゃん、使い魔とご主人様は一心同体って」 ああ言えばこう言う。たしかに言ったけど。何か釈然としない。ま、別に見つかって困るようなものはないからいいけどね。 男子達が楽しそうに語る失敗談でもっとも多く見られるものが「隠していた破廉恥な本を親ないしそれに近い誰かに見つかってしまった」というもの。 だけどそれは自業自得。何のために、首の上にご大層な頭が乗っかっていると思っているんだか。 わたしは違う。性的なものに興味を持ちながら、人に倍する、三倍、四倍、十倍もの煩悩を持ちながら、そのようなものを隠したりはしない。 絵を見れば、脳裏に焼き付けた後で燃やす。本を読めば、一語残らず暗記してから燃やす。一流の犯罪者は証拠を残す愚を犯さない。頭脳という書庫があれば、いつでも引き出すことができるもの。 バタフライ伯爵夫人の優雅な一日八十五頁では何が行われていたかと問われれば、主人公が夫の股間に顔を埋めながら昼間見た騎士のことを思っている場面だと即答できる。 メイドの午後二百二十七頁では何が行われていたかと問われれば、主人のお仕置きと称する陵辱が最高潮に達し、ついにメイドの……。 「ねえルイチュ、これ何?」 チェストの奥から取り出されたそれは、 「首輪よ。見て分からない?」 朝の支度をしながらわたしは答えた。グェスは親指と人差し指でつまみ上げ、胡乱なものを見る目で首輪を眺めている。失礼な。 「何で首輪なんてあるのさ。ひょっとして」 「勘違いしないでよね。使い魔を召喚したらつけてみようかなって思ってただけ」 これは本当。何か惹かれるものがあったのよね、使い魔に首輪って。 「ねえグェス。あんたアクセサリー探してたんでしょ。それ、どう?」 「それ……って首輪ァ?」 「ペット扱いするとかそういうのじゃないの。単なる装飾品としてどうかってこと」 けっこう値段のはる品物だったのよね。革は綺麗になめされてるし、艶を殺した金属部分も格好いい。箪笥の肥しじゃもったいない。 「首輪ねえ」 鏡の前で色々と試しているみたい。付属のチェーンをじゃらつかせたり、首輪をゆるゆるにしてつけてみたり。 けっこう似合うように思えるけど、グェスはご不満なようだ。 全身から立ち昇る、隠しきれないアウトローっぽさが強調されていいと思うんだけどな。 「これってさ。あたしよりもルイチュに似合うんじゃないかな」 「はあ?」 何を言ってるのこいつは。 「わたしに似合うわけがないでしょ。そんなものをつけてる貴族なんて一人もいないわ」 「違う違う、そのギャップがいいんじゃない。清楚で可憐な貴族の美少女にゴツイ首輪って組み合わせがさ」 うっ。そ、それは……イイ……かも。 「でもでも、お品が無いわよ」 「首輪なんてかわいいもんじゃない。あたしの頃は顔面にタトゥ入れたりインプラント埋めたりなんてのが当たり前。学生なんだからそれくらいやらなきゃ」 「そんな話聞いたことない」 グェスはわたしの肩に手を回し、耳元で囁いた。 「ちょっとでいいからさ。試しにつけてみようよ。似合わなかったらやめればいいじゃん。ね」 「でも」 「ルイチュが首輪してるとこ見たいなー。かわいいだろうなー。キレイだろうなー」 「……ちょっとね。ちょっとだけだからね」 強引に押し切られたふうを装いながら、わたしはちょっとだけ期待していた。 期待と言い表せるほどはっきりしたものではなくて、露天で買った安っぽい宝石を指につける時みたいな、そんな感じ。 えっと、ここをこうして、こう、かな。 きっちり締めると鉄の感触が気持ち悪いし、圧迫感がある。かといって、緩く留めたらだらしなく見えそう。 でも首輪にだらしないも何も無いか。鎖骨にかかるかかからないかくらいに垂らしてみた。ふむ。 鏡の前でくるっと一周。ちょっと不敵な表情で決め。ふむふむ。 「か……カッワイイイイイイイイイ! とってもとっても! 予想以上にいいじゃないルイチュ!」 「そ、そう?」 「すごいわこの倒錯感! 小宇宙的な背徳性! 食べちゃいたいくらい! まさに一枚絵って感じ! ドジスン先生が涙流すわ! ネズミの着ぐるみ必要なし! アニメ化決定! お人形にして遊びたいィィィッ!」 鳴り止まない拍手とよく分からない褒め言葉で讃えられて、正直ちょっといい気分。 わたしの目から見ても似合っているように見えた。 ブラウスの襟やマントで隠れるんじゃないかと思ってたけど、そんなものじゃ隠せない暴力的な存在感がある。 でもそれがきちんと全体に溶け込んでいるのよね。わたしという素材のおかげってとこかしら。ふふん。 「さて、それじゃ朝ごはんね。お腹ぺこちゃん。行きましょルイチュ」 「えっ、こ、このまま行くの」 「ごはんの前に何かすることでもあるの?」 「そりゃ……その……あの」 左見右見、戸惑うわたしに脱ぎ散らかされた衣類が目に入る。 「そうだ、洗濯はあんたがやってね」 「……ねえルイチュ」 グェスの声が優しさを帯びた。この声、昨晩も聞いたような……。 「今まではあなたが洗濯物をしていたのよね」 「ええ」 「他の連中は使い魔にやらせているの?」 「してないけど……でも、でも、わたしは人間召喚したんだからそれくらいいいじゃない。下僕がいればそれくらいさせたっていいの。着替えの手伝いさせなかっただけ感謝してほしいくらいよ」 グェスは微笑んだ。この微笑、昨晩も見たような……。 「あなたは貴族だけどまだ学生。洗濯一つにだって先生が込めた意味があるの」 「いや、でも」 「たしかに貴族はそんなことしないでしょう。平民がするべきことで、召使にやらせること。でも、だからこそ今やっておく意味があると思わない?」 グェスはわたしを抱きしめた。この胸の感触、昨晩も味わったような……。 「この世の全てに敬意を持つこと。平民や貴族だけじゃない。豚肉の一切れ、小麦の一粒にも感謝を捧げること。自分のために失われた命があったことを忘れないこと。豚や小麦を育てた人を思うこと。これって大切だけどとても難しいことなのね」 「……」 「貴族だって平民がいなくては生きていけない。平民の苦労を知れば、自然と感謝の気持ちも湧いてくるわ。それでこそ筋を通すことができる。先生達もそれを学んでほしいの」 ……そうよね。わたし達が面倒くさいと思ってやってることにも意味はあるのよね。 筋を通す、か。なんか懐かしいな。昔誰かが言ってたような……まさか使い魔に教えられるとは思わなかったわ。 「ふん。何よ偉そうに。わたしだってそのくらい分かってるわよ。ちょっと言ってみただけじゃない」 「ありがとう、ルイチュ」 「御礼言われる筋合いなんかないって言ってんの! ほら、いつまでも抱き締めてないでさっさと行くわよ。あんた暑苦しいのよ」 グェスを従えて部屋を出る。廊下に続く窓の一つ一つから、同じ形に朝日がこぼれていて、光の中では小さな埃がふわふわと踊っていた。 いつもと同じく安っぽいだけの風景なんだけど、なんとなく神々しく見えるのはなんでだろ。これが感謝の心ってやつ? わたしは静謐な気持ちで廊下を歩いていたんだけれども、おかまいなしに首の飾りは揺れていて、その重量がわたしの心を現実に呼び戻した。 「そうだ。これ、外さなきゃ」 「大丈夫だって、似合ってるもん。おどおどしてるとかえっておかしく見えるよ。堂々としてれば大丈夫」 そういうもんかな。いいのかな、これで。 「ほら、あの子こっち見てるよ。かわいいから驚いてるのね、きっと」 そう言われるとそんな気もしてくるなあ。洗濯の負い目も無いわけじゃないし、グェスの顔を立ててやりますかね。 背中で鎖をじゃらつかせ、わたしは歩く。 「ねえルイチュ。この鎖の端、持っててもいい?」 「は? なんで?」 「もしはぐれたりしたら困るじゃない。昨日来たばかりのとこで一人なんて考えたくもない」 「仕方の無い使い魔ね。本当頼りにならないんだから」 後ろの鎖をグェスに持たせ、わたし達は食堂へと入る。 みんな注目してるみたいね。平民の使い魔が珍しいってわけでもないみたい。わたし見てるし。 アクセサリー一つでここまでわたしを見る目が変わるとはねぇ。しょせんは見た目なのかしら。 マリコルヌうつむいてる。こっち見なさいよこっち。 キュルケもびっくりしてる。眼鏡の顔は変わってないけど、内心ではきっと驚いてるに違いない。 くふふふふふ、皆わたしにあてられちゃったみたいね。今年のルイズちゃんは一味違うのよ。 「なあ」 「なんだよ」 「ゼロのルイズがあの女を召喚したんだよな? あの女がゼロのルイズ召喚したわけじゃないんだよな?」 「たぶん」 「じゃあ、あれ何だ。あの犬の散歩みたいなのは」 「さあ。そういう趣味なんじゃないの」
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桃から生まれた訳ではない (プレイヤー) どうしたんですか桃姫さん、元気が無さそうですが 桃姫 ついにのっぴきならない状況となってしまいました…… (プレイヤー) 両親が近所の人達に私のお披露目をするとかで、日取りも確定したんです 桃姫 それは愛娘としての桃姫さんではなく、桃の人としてですよね? (プレイヤー) はい、どうしましょう……このままでは両親が嘘つき呼ばわりされてしまいます 桃姫 もう腹をくくって桃の人になりきるしかないですね、より完璧にです (プレイヤー) やっぱりそうですよね、お殿様も手伝ってくれますか? 桃姫 もちろんです、さしあたっては犬、猿、キジ、後は鬼も用意しましょう (プレイヤー) ありがとうございます!なんとお礼を言ってよいのやら 桃姫 その辺りのお話は無事にこの問題を切りぬけてからでいいですよ (プレイヤー) はいっ!頑張りましょうね、お殿様 次へ 一覧に戻る
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622 名前:つづきの蛇足[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18 45 01 ID 15BWmCsY それは、貴族の結婚式としては余りにも粗末で、簡素なものだった。 呼ばれたのは、気の置けない友人たちと、恩人だけ。 豪華な料理こそ出なかったが、質素ではあるが心のこもった料理が、来賓たちを出迎えた。 久しぶりに会う顔もあれば、ずっと一緒だった者もいる。 彼らは、この宴の主賓を、今か今かと待ち構えていた。 「遅いわねぇ。ない胸に盛り土でもしてるのかしらあの子」 「…言いすぎ」 真紅の髪の貴婦人と、水色の髪の貴婦人が、料理を挟んで新婦の話をしている。 「…ホント、早く終わらせて帰りたいわー。ダーリンが仲人じゃなきゃ出ないわよ、お隣さんの結婚式なんて」 「…私が誘っても?」 「…ガリアの王命じゃ、出ないわけにはいかないけどさあ」 真紅の髪の貴婦人は、困ったように肩を竦める。 「でさ。アンタは公務おっぽってなんでわざわざ来てるワケ」 「…新郎に文句言ってやろうと思って」 「…彼も勇気あるわよねえ。一国の女王の求婚を二件も断るなんて。下手したら戦争もんよ」 「…私がいる限り二度と戦争はさせない」 「冗談よ冗談。あー早くしなさいよもー!」 その隣では、ブロンドの家族連れが、並べられた料理を蹴散らしていた。 「あーこらこら、貴族の子弟がそんな食べ方しちゃダメだろー」 「あなた、こっちも手伝ってよ!身重なんだから少しは気遣いなさいよね!」 「そ、そんなこと言ってもだな、こっちも三人見てるんだぞ」 「そっちの三人はほっときゃ自分で食べてるでしょ!八ヶ月二人はムリだってば!あーこらこらナッツなんかたべないの!詰まっちゃうでしょー」 「で、でも、グラモン家の子弟として最低限のマナーはだな」 「貧乏貴族が見栄はってどーすんのよ!ていうか今日は平民貴族関係なしに呼ばれてんだから気にしても意味ないじゃない」 金髪の夫はやれやれ、と肩を竦めて大きなお腹の金髪巻き毛の妻の下に駆けつける。 離れた席では、物腰の優雅な黒髪の街娘と、眼光の鋭い金髪の街娘が、取り分けた料理の皿にも手を着けず、話をしていた。 「陛下。いかに親友の結婚式とはいえ、ムリに予定をつめる必要はなかったのでは」 「親友?今親友とおっしゃって?あの子は親友などではないわ。トリステインから至宝を奪った仇敵よ。 頬の七つも張ってやらないと気がすまないわ。ああもう憎い憎い憎い」 「…の、わりには嬉しそうですね」 「それはもう!久方ぶりにあの方と逢えるのですもの!公務なんて馬鹿らしくてやってられないわ!違って?」 「…他人の夫に手を出す気ですか」 「本当ならね?王命で無理矢理奪ってもよかったのよ?でもね、でもね、あの方があの子がいいって…うわぁぁぁぁぁぁ」 そう言って泣きはらす黒髪の街娘の後ろには、ワインの空き瓶の林が。 「…酒でも飲まないとやってられんな、確かに」 そんな来賓たちに、ハーフエルフの女性が声をかける。 「みなさーん!新郎と新婦の準備が出来ましたよー!」 そして開いた小さな家の扉から、新郎と新婦が姿を現す。 『おめでとう!』 『おめでとうルイズ!』 『おめでとうサイト!』 祝福の声が、幸せな二人を出迎えた。 623 名前:つづきの蛇足[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18 46 03 ID 15BWmCsY 会場の隅で給仕の手伝いをしながら、シエスタは二人を見守る。 「綺麗。ミス・ヴァリエール…」 祝福の声に応えるルイズは、ドレスとその輝く笑顔で、いつもの何倍も美しく輝いて見えた。 自分も、あそこに立ちたかった。 でも、自分は選んだ。 死ぬまで、サイトさんのメイドでいます。 2番目でいい。1番でなくても、サイトさんの傍にいられればいいんです。 ルイズと結婚する、と告げられた時、シエスタはそう返した。 それ以来、二人の間に関係はない。 だが、シエスタは幸せだ。 「私はお二人とも大好きですし。それに…」 そっと、自分の下腹部に手を添える。 十月後、このお腹は大きく膨れているだろう。その種は、今ルイズの隣で微笑む、才人が宿したもの。 「一個勝ち、ですよ、ミス・ヴァリエール♪」 かと思ってたら。 「で、なんで若奥様も妊娠してるんですかっ!」 「アンタがサイトの子身篭ってることがおかしいんだけど!」 「それは置いといて。で、なんですかお願いって」 「…置いとくのもアレだと思うけど。 あのね、お医者様の話だと、私お乳が出ないらしいの」 「そりゃ胸もゼロですからね」 「いいから聞きなさい。だから、あなたに乳母をして欲しいの」 「えー?若奥様の子供にお乳あげるんですかぁー?」 「サイトの子よ」 「喜んで!」 「あなたねえ…」 こうして乳母となったシエスタは、それ以降も虎視眈々と才人を狙っていくのだが…。 それはまた、別の話。 624 名前:せんたいさん[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18 48 12 ID 15BWmCsY ふと思いついたので補足してみた。 詳細は ttp //ja001.sukiwikiweb.com/zero/pg/%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%93.html の下二つよりです。 まー思い付きだけなんでいまいち…アレだなあ…。 他の書いてきますノシ
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登録日: 2017/01/21 (土) 22 47 16 更新日:2023/11/22 Wed 22 12 34NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 IS PS3 PSVita すーぱーそに子 ひぐらしのなく頃に インフィニット・ストラトス キャラゲー クロスオーバー ゲーム シミュレーションRPG ゼロの使い魔 デ・ジ・キャラット ドリームハンター麗夢 バンダイナムコ ヒロイン 京騒戯画 快盗天使ツインエンジェル 戦姫絶唱シンフォギア 敵も味方もハーレム 緋弾のアリア 超ヒロイン戦記 超釘宮対戦 選ばれしヒロイン達がここに集結! 超ヒロイン戦記(スーパーヒロインクロニクル)とは2014年2月6日に発売されたゲームソフトである。 発売ハードはPlayStation3とPlayStation Vitaのマルチ。 開発はクイーンズブレイド スパイラルカオス/クイーンズゲイト スパイラルカオスを手掛けたチーム。 更に言うとこのチームは元々バンプレスト(バンダイナムコ)のスパロボ開発チームであり、内容を一言で説明するならユニットを全部女の子にしたスパロボ。 ただし、スパイラルカオスほどはエロくない。まあ、他のゲームと比べれば十分エロいけど。 10作品に登場するヒロイン達が集結し、戦いを繰り広げるシミュレーションRPGであり、男性キャラクターは主人公含め殆ど登場しない。 【システム】 基本的にはオーソドックスなシミュレーションRPGであり、味方ユニットを動かして敵を倒していく。 各キャラクターにはHPの他に、ATK(攻撃力)、HIT(命中率)、SPD(回避率)の3つの「能力HP」を持っており、ダメージを受ける事に減っていき、該当する能力が低下していく。 このため、敵の攻撃は受けるより回避した方がデメリットが少ない、また、HPが残っていても能力HP3つがゼロになると戦闘不能になる。 能力HPどれか1つをゼロにすれば、追加でエクストラアタックが発生し、更に能力HPを削れる、範囲内に仲間がいれば援護してくれる。 そして、HPと能力HPを全てゼロにすれば「Wインパクト」が発生し、特定のコマンドを入力すればアイテム(とヒロインのグラフィック)が手に入る。 武器はないがショップで能力値を強化できる、またコインやアイテムを装備してさらなる強化やスキルを取得できる。 【登場キャラクター】 版権キャラクターに関しては各作品の項目も参照されたし。 オリジナルキャラクター ノエル=風祭(CV 佐藤利奈) 聖モンブラン学園の生徒。「クイーンズゲイト スパイラルカオス」に登場したマジカルパティシエ・まろん=まかろんとは1個学年が上のクラスにあたる。 友人のめると共に行方不明となった先生を探している。 過去に紫色のレオタードを着たマジシャンに助けられて、自身も人助けができるマジシャンを志す。 手品を使った攻撃が得意だが、M体質であるらしく、披ダメージが増える代わりに能力値を上昇させるスキルを持つ。 様々なキャラにいらんことを言って怒られて悦んでいる。 キャラクターデザインはうるし原智志氏。 める=らんしぇる(CV 金元寿子) 聖モンブラン学園の生徒。ノエルとは子どもの頃からの幼馴染で、彼女と共に先生を探している。 ヨーヨーを武器とするが、S気質であるらしく、敵へのダメージを増加させるスキルを持つ。 スレンダーな体系を気にしており、その手のキャラと同盟を組もうとして痛い目にあった。 アイドルを志してはいるものの、肝心の歌唱力ははっきり言って「音痴」。 キャラクターデザインは水無月徹氏。 クロード(CV 下野紘) このゲームの主人公。銀髪で右手を包帯で覆った、記憶を失くした少年。 気弱な性格で足手まといかと思われがちだがサポート役としては優秀であり、パーティ内の回復薬を一手に担う。 スキルの回復はターンを消費しないのでSPがある限り移動範囲内全員を回復でき、コマンドとして持つ回復は使用すると経験値が入る。 回避だけは高いので敵の反撃を気にせずHP削り役にもなれる。 キャラクターデザインは大塚真一郎氏。 快盗天使ツインエンジェル 変身ヒロインという都合上正体はバレてない設定で「ツインエンジェル呼んでくる」と言ってこっそり変身して参戦している。 水無月遥 ご存じレッドエンジェル。主に徒手空拳で戦う。 響、コトと並ぶ本作屈指のパワーファイターで、スキルで更に攻撃力を上げられる。 元気っ子同士で響や鈴とは気が合うが、箒には(主に声のせいで)苦手意識を持たれている。 神無月葵 ご存じブルーエンジェル。弓矢が得意で、全体攻撃も可能。 スキルで命中も上げられるので正に百発百中、麻痺等を付与するのもアリ。 葉月クルミ ご存じホワイトエンジェル。 3人なのにツインエンジェルとか突っ込んではいけない。 本作の釘宮四天王の1人にして、ちびっこ組の1人。 ただ加入の遅さもあり能力値は2人よりも低め。 上記のツインエンジェル3人組は隣接していれば合体技を繰り出す事もできる。 テスラ・ヴァイオレット ナイン・ヴァイオレット ご存じツインファントム。最初は敵だったが後に味方になる人その1とその2。 ただし一定の条件が必要。 京騒戯画 明恵や鞍馬等、多くの登場人物が未登場。元々多次元世界が舞台の作品なので「そういう世界」と思えば妙に納得できるが。 コト 鏡都にやってきた少女だが、それ以外の素性は不明。 巨大で伸縮自在のハンマー「アラタマ」を武器に戦うパワーファイター。 本人の身体能力も高く、屋根から屋根へ飛び移ったり、電柱を駆け上って大ジャンプしたりする。 そのおかげか回避も高く、主力として充分な働きを期待できる。 釘宮四天王の1人で、唯一の非ツンデレでもある。 八瀬 鏡都の支配者の1人の女妖怪。 最初は敵だったが後に味方になる人その3(一定の条件が必要)。 妖怪特有の怪力の他、本編では一切使用しない念動力じみた技も使う。 デ・ジ・キャラット 彼女達はストーリーが進むとショップとは別にアイテムを購入できる「ゲーマーズ」を開店する。 でじこ ご存じデ・ジ・キャラット。どんな時でもギャグ描写を忘れないムードメーカー 獲得金額増加スキルを持ち資金稼ぎに最適、また目からビームや連続パンチ等意外とアグレッシブ。 ぷちこ ご存じプ・チ・キャラット。小さいがかなりの毒舌家。 回避以外の能力値は低いが多彩なスキルで相手を翻弄するのが得意。 うさだヒカル ご存じラ・ビ・アン・ローズ。 最初は敵だったが後に味方になる人その4。 移動強化スキルを持ち切り込み役としては優秀、うさだと呼ばれる事を嫌う。 戦姫絶唱シンフォギア 第一作名義で参戦。 本作のキャラクターはノイズモドキ系の敵の持つ「位相差障壁」(シンフォギア組以外のキャラと戦闘するとステータスが上昇する)を解除できる。 立花響 聖遺物・ガングニールの奏者。今作未登場の師匠仕込みの徒手空拳は健在のパワーファイター。 スキルの重ね掛けで更にダメージを上乗せ可能で、とりあえず彼女とコト、遥を入れておけば攻撃面は安心。 あるイベントでは嫁認定されてしまうことに……(今回出番のない正妻を差し置いて)。 風鳴翼 聖遺物・天羽々斬の奏者。 本作で最初に仲間になるSAKIMORI。第1作終了後の設定なのになぜか口調は女を捨てる前。 そのためかステータスはバランス型で、麻痺攻撃が得意。 雪音クリス 聖遺物・イチイバルの奏者。 最初はなぜか敵に回っていたが後に味方になる人その5。 攻撃範囲が広く、スキルで更に広げられる。 そこから繰り出される全体攻撃は最早絨毯爆撃、本作屈指のマップ兵器アタッカーである。 掛け合いではおじさんにコスプレさせられそうに……。 セシリアの料理をうまいと言った唯一のキャラ。まあ本編の過去を知ってるとね……。 すーぱーそに子 すーぱーそに子 ご存じニトロプラスの巨乳グラビアアイドル。 完全に一般人の為、本作ヒロインでは恐らく最弱。 だが回復やステータスアップ等のサポートには秀でる、回避も高め。 攻撃アニメーションが無駄に長い。般若マネージャーも出てくる。 ひぐらしのなく頃に 多少デフォルメされているが、原作さながらの顔芸も披露する。 話の都合上裏切るわけではないが彼女達と戦うイベントもある。 一般人だが何故かIS使用者やSランク武偵とも互角に戦える。 まあ、原作でも情報戦が主任務とはいえ自衛隊の特殊部隊を手玉に取って壊滅、敗走させているけどね。 主人公である圭一君は未登場。 竜宮レナ かぁいいもの大好き少女。 彼女にかかればどんな強敵もお持ち帰りしてしまう。 スキルにより敵の位置に関係なく移動可能、そしてこう見えて響、遥、コト、でじこに並ぶパワーファイターである。 園崎魅音&園崎詩音 おじさんこと部長とその双子の妹。 2人で1組のユニットで、魅音は水鉄砲と実銃を使い分けて戦うガンファイターで、詩音はスタンガンの援護で麻痺も狙える。 詩音は1つの技にしか参加しない。 北条沙都子&古手梨花 ちびっこコンビだが、やることはえげつない。 梨花が敵を誘い、沙都子のトラップに嵌める戦法を取る。 梨花にしてみれば最古参の麗夢や妖怪の八瀬ですら「まだ若い」らしい。 緋弾のアリア ジャンヌ以外の4人はスキル「武偵の心得」を持ち相手のHPを1残した状態にでき、Wインパクト狙いや味方のレベルアップに最適。 アリアと共に原作本編で主人公を務めるキンジは未登場。 神崎・H・アリア ご存じSランク武偵。双剣双銃を巧みに使い戦う。 16発(+2発)の弾丸を至近距離でぶち込む「ガバメント・レクイエム」は圧巻の一言。 ひぐらし組の事件を探偵として解決に乗り出す等見せ場も多く、チームの実質的なまとめ役となっている。 圭一君に代わって雛見沢症候群を発症してしまうというアクシデントにも苛まれたけどな! 釘宮四天王の1人で、特にルイズとは他人の気がしない仲である。 星伽白雪 星伽の巫女。 基本的に優等生。なおフリートークでは原作通りのヤンデレを発揮する。 剣技の他、鎖鎌等の暗器を使って戦う。 レキ 一発の銃弾を自称する寡黙な狙撃手。 全キャラ中トップクラスの射程を持ち、反撃を気にせずHPを削れる。 スナイパーライフルを抱えて走り回り、トラップや跳弾を駆使して攻撃するアニメーションは必見。 峰理子 ルパンの孫娘。最初は敵だったが後に味方になる人その6(一定の条件が必要)。 アリアと似た戦法、ステータスを持つ。 ジャンヌ・ダルク30世 通称デュランダル。最初は敵だったが後に味方になる人その7。 原作通り凍結状態にする戦法を得意とする。 ただ芸術センスは壊滅的。 インフィニット・ストラトス 本作のキャラクターのみ、シールドエネルギーと飛行モードというステータスを持つ。 シールドエネルギーは攻撃、移動などで消費し、0になると移動不能になる。 飛行モードになれば消費エネルギーは増えるが敵の位置に関係なく移動でき、高所にも上がれる。 やはり他作品より強力な力と見なされてるようで、重要なミッションを任されることも。 なおこのゲームはあくまで「ヒロイン戦記」なので、原作の主人公である織斑一夏は参戦していない。 参戦していないといっても「このメンバーだけがゲーム世界に連れてこられた」とかそういう設定ではなく、「初めから一夏という人間が存在しないISの世界」がゲームの舞台になっている。 このため箒やラウラの言動に少し違和感があったり、ヒロイン同士の関係が少しだけ平和だったりする。 なお一夏の役割を立花響が引き継いでいるという噂もあるが、それは解釈が分かれるところだろう。 篠ノ之箒 IS学園の生徒にして、今作未登場の正妻の幼馴染。使用ISは打鉄→紅椿。 本作では珍しいパワーアップイベントがあり、打鉄時はパッとしないものの紅椿に乗り換えたら一気に化ける。 機動力、攻撃力も申し分なく、自力でシールドエネルギー回復も可能。 中の人ネタで遥の事が苦手だが、彼女からは懐かれている。 セシリア・オルコット イギリスの代表候補生。使用ISはブルー・ティアーズ。 見た目通りのビームライフルによる遠距離攻撃が得意。 料理センスは壊滅的。 凰鈴音 中国の代表候補生にして酢豚正妻のセカンド幼馴染。使用ISは甲龍。 移動や攻撃力増加スキルを持つ切り込みアタッカー。 アリアやルイズと仲良し。 シャルロット・デュノア フランスの代表候補生のボクっ娘。使用ISはラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ。 バランス型のステータスと様々なスキルを持つ万能キャラ。 ラウラ・ボーデヴィッヒ ドイツ製シンフォギア奏者ドイツの代表候補生。使用ISはシュヴァルツェア・レーゲン。 最初は敵だったが後に味方になる人その8にして、最初に対峙する敵キャラでもある。 披ダメージを80%減少させる強力スキルを持つ。世界が違っても通信してくるクラリッサは部下の鑑。 今回まさかの人物を嫁認定する事に…… ゼロの使い魔F アニメ最終シーズン名義で参戦。ルイズのバカ犬はやっぱり未登場。 ルイズ ご存じゼロのルイズ、又はレモンちゃん。 攻撃技が全てエクスプロージョン系という思い切った使用であり、遠距離攻撃では味方も巻き込む。 巫女衣装に着替えるとステータスが変化する。 釘宮四天王の1人で、アリアやクルミとはツンデレ仲間でもある。 シエスタ メイド、それ以上でもそれ以下でもない。 ステータスは全体的に低く、回復メインのサポート役である。 白雪やシャルにメイドの教えを説くことも。 ティファニア おっぱいエルフ。 ルイズ組は彼女が行方不明になる所から始まる。 シエスタ同様ステータスの低いサポート役。 ドリームハンター麗夢 綾小路麗夢 怪奇事件専門の私立探偵にして、『夢守の民』の末裔。 参戦作品では唯一の昭和勢。おそらくスタッフが一番出したかった知る人ぞ知るスーパーヒロインであろう。 見た目と裏腹にかなり場数を踏んでいる為か場を仕切る事が多く、アリアと並ぶリーダー格である。 パワーアップイベントがあり任意でビキニアーマー「夢の戦士」に変身可能。 コルトパイソン中心だった通常時に比べ、技も光の剣を中心としたものに一新されるため全キャラ中最多の技数を誇り、能力値も高く主力となりえる。 追記、修正は様々なヒロインと会ってからお願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 発表された時点では、どの作品も旬を過ぎてると言われてたけど、発売前後にちょくちょく続編やら新展開やらあったような記憶。狙ったのかこれが呼び水になったのか -- 名無しさん (2017-01-21 23 58 42) 作品タイトル毎に括弧つけるなり、キャラ名の前に・とか●とかつけるなりしないと、流石にこれは読み辛すぎ。項目作成する段階で、ある程度の読みやすさを考えて項目作成してもらいたい。 -- 名無しさん (2017-01-22 00 07 05) 早速誰か編集やってくれたか、ありがたい -- 名無しさん (2017-01-22 00 26 59) 聖モンブラン学園ってクイーンズゲイトにも出てたよね? -- 名無しさん (2017-01-22 00 50 40) 参戦作品がややマイナーということがよく言われるな。オタク界隈ではそれなりに知名度のある作品ばかりではあるけど、スパロボにおけるマジンガー、ガンダムのような誰もが知っているというような作品がない。 -- 名無しさん (2017-01-22 01 35 14) これやった後だとヒーローズファンタジアってなんだかんだで抑えるべきところ抑えたラインナップだったんだなと思った。 -- 名無しさん (2017-01-22 06 42 00) 興味はあったが作品内容まで知ってるのがデ・ジ・キャラットぐらいしかなくて見送った作品。 -- 名無しさん (2017-01-22 07 53 28) 続編待ってます -- 名無しさん (2017-01-22 08 46 47) ↑3 どっちもバンプレストだな…両作品とも未だに何でこの作品が選ばれたのか分からないラインナップだ。何か共通点があるのか?とか考えたけど分からなかったな -- 名無しさん (2017-01-22 09 08 18) マジンガーやガンダムのポジションとっつーとセーラームーンやプリキュアあたりか 続編出たとして出てくれるのか…? -- 名無しさん (2017-01-22 13 39 10) キューティーハニー、セーラームーン、CCさくら辺りがスパロボ御三家相当かしら。映画やったばっかなのになのはがいないのが逆に意外みたいな声も聞いたような -- 名無しさん (2017-01-22 13 42 18) ISはほんとに扱いにくいな。スパロボには無防備すぎで、かといってこういう作品に出るには武装しすぎてる -- 名無しさん (2017-01-22 16 32 07) ↑別に気にならなかったけど -- 名無しさん (2017-01-22 16 36 08) 東方や艦これぐらい引っ張って来ないとねえ -- 名無しさん (2017-01-22 16 42 34) 続編出たらまどマギ、ストパン、ビビット、ゆゆゆあたりは出るか -- 名無しさん (2017-01-22 21 04 11) ↑版権使用料がものすごいことになりそう。てか続投できそうなのはISとゼロ魔くらいしかない -- 名無しさん (2017-01-22 21 25 37) 出て欲しいけどプリキュアはちびっ子が飛びついちゃう可能性があるからこの手のゲームへの出演は難しそうだなぁ -- 名無しさん (2017-01-22 21 55 56) 京騒戯画は結構浮いてると思ったら原作男女比半々くらいなんだよね -- 名無しさん (2017-01-22 23 36 56) 響ハーレムは原作通り -- 名無しさん (2017-01-23 04 33 45) これで普通に良ゲーだから困る。箒の乗り換えイベントとか原作以上に熱かったし、ひぐらしキャラとかしてたアリアとか面白かったし -- 名無しさん (2017-01-23 21 53 08) ゲーム上は育て方次第で変わるが実際の実力順ってオリ勢除くと IS、シンフォ、ツイン、ドリーム、京戯、武貞、ゼロ魔、でじこ、ひぐらし、そに子って感じかな? -- 名無しさん (2017-01-23 23 34 54) くぎゅキャラだらけのクラスを擬似的に作れると -- 名無しさん (2017-01-24 07 41 41) 続編には是非ともギャラクシーエンジェルや幻影ヲ駆ケル太陽の参戦を… -- 名無しさん (2017-01-24 21 06 36) そに子はともかく、ひぐらしがアリなんだから申し訳程度のバトル要素でもいけそうだよね。個人的にはニャル子さんと俺ツイで -- 名無しさん (2017-01-24 22 17 03) AB!(奏、ゆり、ユイ、椎名)もいいな、アリアとゆりで風穴コンビ組ませたい -- 名無しさん (2017-01-24 23 05 06) ガルパンはありなのだろうか…? -- 名無しさん (2017-01-24 23 38 03) 正直、ISはスパロボの方を期待している -- 名無しさん (2017-01-24 23 41 57) せめて劇中流れたアニメムービーをいつでも見れる機能欲しかった・・・別作品キャラ達がカラオケとかテニスやってるのが微笑ましかった -- 名無しさん (2017-01-25 00 50 43) なぜなのはやまどマギとかを出さなかった -- 名無しさん (2017-01-25 06 07 04) ↑「有名どころにオファーを断られまくってこれしか残らなかった」「版権使用料が足りなかった」「製作者の趣味じゃなかった」のどれかだろう -- 名無しさん (2017-01-25 09 12 52) なのはとまどマギはネームバリューがデカ過ぎて「スーパー魔法少女大戦」と思われる、もしくは実質そうなってしまうからじゃないかって話も聞いたな。実際は↑辺りだとは思うけど -- 名無しさん (2017-01-25 15 00 42) 参戦作品自体で化けると思うけどな -- 名無しさん (2017-01-25 15 22 29) まどマギは参加したら世界設定が全部飲み込まれるってのもあるし…… -- 名無しさん (2017-02-03 09 25 18) 正直、狙った年齢層がわからん -- 名無しさん (2017-02-08 07 47 53) 有名所をあんま参戦させないからこそのクロスオーバーで良かったと思うなぁ、梨花ちゃんと鈴のやり取りが好きや。次回出るなら麗夢みたいに「なんだこの作品!?」ってなるのが欲しい、知名度高いやつばかりじゃなくて -- 名無しさん (2017-02-11 21 55 37) ↑2 飛び抜けてズレてるのはあるが、リメイクや続編があったし年齢層はむしろ偏ってないか? どっちかというとバラけてるのは原作ジャンルのような。規模問わず「戦うヒロイン」以外の共通点がホントにほぼないよね(そに子から目を逸らしながら -- 名無しさん (2017-02-11 22 17 31) 麗夢だけ浮いてる感はあるけども……後2、3本昭和作品ねじ込んでも良かったんじゃないかな -- 名無しさん (2017-02-11 22 21 09) 真面目組(箒、白雪、ジャンヌ、翼、ナイン)のありがとうの言い合いが面白かった -- 名無しさん (2017-02-11 23 33 37) ↑2昭和だとヒロイン中心ものが少ないし、デザインも今とかけ離れてるから難しいんじゃないかな -- 名無しさん (2017-03-05 23 38 08) 般若マネージャーが出るなら一夏も出ても問題ないじゃないですか? -- 名無しさん (2017-05-18 18 10 52) ↑シナリオの都合でお膳立てしなきゃならなくなるから却下 -- 名無しさん (2017-05-18 20 30 59) 男キャラが軒並み出番カットされてたからスルーした、タイトル的に仕方なかったんだろうけど。それでも評判良かったの? -- 名無しさん (2017-05-18 20 39 19) 流石に主人公存在消すってのはやりすぎだろIS、作品の根幹否定してまでヒロインだけ出したいとかさ…所用で不在とかにすればいいのに -- 名無しさん (2017-05-18 20 50 35) ↑なんでISだけそんなに・・・京戯なんてメイン3人以上消されてるのに -- 名無しさん (2017-05-18 21 03 52) MF作品の主人公が存在を抹消された理由が分かる気がする。アリア、IS、ゼロ魔は主人公を巡ってヒロイン同士がいがみ合うトラブルが絶えないからな、トラブルの火種になるからMFの主人公達は存在を抹消されたのであろう。 -- 名無しさん (2019-06-08 20 52 16) 参戦キャラのバランスが意味不明。ゼロ魔はキュルケやタバサがいるのになぜシエスタとティファニア? -- 名無しさん (2020-05-19 23 15 38) というか、変身ヒロインがシンフォギアとツインエンジェルしかいないってどういうことだよ! -- 名無しさん (2020-11-02 17 40 17) ↑言いにくいが、キャラデザや人気の問題だと思う キュルケはゼロ魔の女性キャラの中では人気が低い方だし、タバサは外伝の主人公を務めたくらい人気はあるがキャラデザが地味 -- 名無しさん (2020-11-16 21 23 46) ミスった ↑3へのレスな -- 名無しさん (2020-11-16 21 24 22) ⬆3まあ「変身」とかのジャンルに拘らずヒロイン全般を集めました、と言うことなのだろう。 -- 名無しさん (2020-11-28 13 02 18) 駄作というほどひどくないがあえて褒めるところを探してもたいしたのがない。ノンフィクション作家が無理にラノベを書いた感じ -- 名無しさん (2023-09-20 00 23 08) 男主人公抹消とかどこぞの二次創作かと突っ込みたくなる(これもある意味二次創作だが)。かと言って原作男主人公の活躍の比重が強い作品だと肝心のヒロイン食いかねない(not性的な意味)から、そう考えると抹消も止む無し、なのかなあ。 -- 名無しさん (2023-09-20 01 02 56) 名前 コメント
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俺たちに明日はない 登場人物 コメント タイプ1:あく 1967年製作のアメリカ映画。大恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドの、出会いと死に至るまでを描いた犯罪映画。アメリカン・ニューシネマの先駆的存在として有名。 登場人物 ズルズキン:C・W・モス コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 登場人物とだけ書かれた荒らしコメントを削除 -- (名無しさん) 2019-10-21 19 38 36
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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2011/02/22(火) 23 21 28.84 ID 65q9l6A4O 沙織「それは流石に拙者も引くでござるよ……」 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2011/02/22(火) 23 28 12.86 ID 65q9l6A4O 桐乃「はぁ!?なんでよ、あの機体こそモビルスーツの最高傑作じゃないの」 沙織「いやいや…。まってくだされ、それは言い過ぎですぞ…」 黒猫「ちょっと待ちなさいな。先程から何を言っているのよ?」 桐乃「はぁ?アンタもしかしてサンドロック知んないの」 黒猫「馬鹿にしないで頂戴。ボクシングとかで使うアレでしょ」 桐乃「全然違うっつーの!これだから中二病は」 黒猫「そ、それは今関係ないでしょう!」 11 以下、名無しにか - 2011/02/22(火) 23 35 00.70 ID 65q9l6A4O 沙織「落ち着いて下され黒猫氏。…はて、それにしてもおかしいですな」 桐乃「何がよ。アイツの頭がおかしいのは日常茶飯時じゃない」 黒猫「黙りなさいな。その言葉、原子一つ残さず貴方にお返しするわ」 沙織「いえ。確か黒猫氏にもOVA版のガンダムウイングを貸した気がしたのですが」 黒猫「…あぁ。思い出したわ。OVA単体だと、余り話は分からなかったけれども」 沙織「そのアニメに出て来ているはずですが?覚えてござらんか」 16 以下、名無しにか - 2011/02/22(火) 23 42 52.37 ID 65q9l6A4O 黒猫「…いたわ!確かにいたわね」 桐乃「なんだ、アンタも知ってるんじゃない。…んで、どうよ?」 黒猫「…悪くはないわね。あのパープルの落ち着いた配色は好感がもてるわ」 沙織「ほほぅ」 黒猫「ただ、いくら白兵戦特化とはいえショーテル二本はどうかしら?黒いのも鎌一本よね」 沙織「黒いのではなく、ガンダムデスサイズヘルですぞ!」 黒猫「あら、そう?でも私としては羽零の翼に心が惹かれたわね。あの機体こそ兵器として完成されているんじゃないかしら」 19 以下、名無しにか - 2011/02/22(火) 23 50 22.54 ID 65q9l6A4O 桐乃「ウイングゼロ?はぁ……、アンタ絶対見る目ないって。あんなバスターライフルとサーベルのみってどんだけ武装偏ってんのよ」 黒猫「お黙りなさい。両肩にマシンキャノンも付いているわ!ショーテル二本と同じにしないで頂戴」 桐乃「うっさいわね!あんな形状の羽根なんかついてたらどんだけメンテナンス大変なのよ!」 沙織「まぁまぁ、お二人とも落ち着いて下され」 桐乃「…ったく。でもこのデス猫も悪くないって言ってんじゃん、沙織」 黒猫「まぁ、そこまで引く程では無いというくらいね」 22 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 00 43.59 ID PcyyR02TO 沙織「いや…待って下され。黒猫氏、待って下され」 黒猫「…何かしら?」 沙織「確かに、拙者もサンドロックカスタムはカッコいいと思いますぞ…」 黒猫「あら、だったら何も問題は無いじゃないの」 沙織「いえ、きりりん氏が言っているのは『カスタム』では無く無印のサンドロックなのです…」 黒猫「かすたむ…?むじるし…?済まないのだけれど、私にも分かる様に人の言葉で話してくれないかしら」 桐乃「だから、無印がテレビ版でOVA版がカスタムね。ま、カスタムってのはプラモ化する為の名称で、劇中では同じガンダムサンドロック改なんだけどね」 黒猫「……なるほど、さっぱり分からないわ」 29 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 10 29.94 ID PcyyR02TO 桐乃「なんで分かんないかなぁ?だから、あの無駄にデッカイショーテルはOVA版だけなの!」 黒猫「あぁ…。うん、分かったわ。良く分かったわ。…アレよね、OVA版でパワーアップしたのね」 桐乃「だ・か・ら!同じって言ってるでしょ。OVA化にあたってカトキさんがリファインしたのよ」 黒猫「りふぁいん…。待って頂戴、わけが分からないわ。なら、なんの意味も無く、唐突にOVAで機体の形が変わったということ?」 沙織「まぁ、そういう事でござるよ」 黒猫「……い、意味が分からないわ。視聴者が混乱するのではなくて?」 33 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 18 16.98 ID PcyyR02TO 桐乃「さっきからネチネチうるさいっての。細かい事気にしないの」 黒猫「こ、細かい事なのかしら…」 沙織「まぁ、新しくプラモデルを出せるという大人の事情もあったのでしょうぞ」 黒猫「そういう物なのかしら…」 桐乃「ま、そういう訳でサンドロック最高って事でいいよね」 沙織「待って下され!きりりん氏。まだ黒猫氏の意見を聞いてませんぞ」 黒猫「まぁ、私はどちらでもいいのだけれど…。あの女の言う通りになるのはシャクにさわるわね」 沙織「でしょうぞ!」 桐乃「…ったく」 黒猫「取り敢えずその無印のガンダムサンドロックを見せて頂戴な」 35 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 23 42.20 ID PcyyR02TO 桐乃「ほら、このノーパソを刮目しなさいよ!」 沙織「それはテレビ版ウイング第一話ですな」 桐乃「久し振りにサンドロックがマグアナック隊と合流するシーンよ!」 黒猫「…久し振り?これは一話なのではなくて…」 桐乃「これ以前の時系列で色々あったのよ」 沙織「ま、その話は後にして画面を見て下さいな」 黒猫「やれやれ…。でもどこにもサンドロックの姿が見えないわよ」 桐乃「はぁ?どこに目ついてんのよ!ずっと出てるじゃない」 37 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 30 35.75 ID PcyyR02TO 黒猫「ずっとってどこよ…?先程からニワトリの様なモビルスーツばかりじゃなくって」 沙織「い、いえ…。ですからそれが、きりりん氏が最高傑作と宣うテレビ版サンドロックなのです」 黒猫「……………」 桐乃「あら、余りのかっこよさに声も出ない?ま、仕方ないよねぇ」 黒猫「違うわよ!!呆れているのッ!」 桐乃「っ…!?耳元で大きい声出さないでよ!」 黒猫「分かったわ…。私は今この瞬間に理解したわよ…!」 桐乃「な、…なにがよ…?」 40 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 38 19.72 ID PcyyR02TO 黒猫「貴方の美的センスが壊滅的に崩壊していると言う事をよ!」 沙織「そうですぞ、黒猫氏!サンクキングダムの如しなのです!」 桐乃「なっ!?普通そこまで言う?味方が付いたら急に強気になったわね…」 沙織「ふふふ…。怨まないで下され。我が友を正しき方向に修正するのは拙者の務めなのですぞ」 桐乃「…ぐっ!」 黒猫「全く。調べれば調べる程呆れるわね」カチカチ 桐乃「アンタ、携帯で何やってんのよ!」 44 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 46 26.90 ID PcyyR02TO 黒猫「1/100スケール…。この単語に心当りはないかしら?」 桐乃「………!?」ビクッ 沙織「おやおや、きりりん氏。随分と汗をかいてるでござるな」 桐乃「へ、部屋が暑いだけよ!」 黒猫「下手な嘘は止めて頂戴。…貴方の大好きなサンドロックはね」 桐乃「な、…なによ……」 黒猫「1/100でプラモデル化されてないのよね!翼と死鎌は勿論の事、あのシェンロンでさえプラモ化されたのに」 桐乃「…ぐぶっ!!」 50 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 00 54 08.58 ID PcyyR02TO 沙織「そうですぞ、目を覚まして下されきりりん氏!あのウーフェイ氏の機体でさえ1/100化されているのです」 桐乃「そ、そんなの関係ないっての!1/144スケールではでてるっしょ!」 黒猫「いい加減現実逃避は止めにして頂戴。歴史が証明しているのよ、BANDAIはサンドロックを1/100化しても売れないと言う判断を下したのよ」 桐乃「うるさい!うるさい!どれだけ売れたかより、何が好きかで語りなさいよッ!」 黒猫「しかし、正しい物の見方よ」 沙織「個人の主張など安い物なのですぞ。特にきりりん氏のは」 67 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 01 10 20.69 ID PcyyR02TO 桐乃「………分かったわよ。分かったわ」 沙織「おぉ!やっと分かって下さったのですな」 黒猫「全く…、最初からそう言いなさいな」 桐乃「待って。勘違いしないでくれる」 黒猫「…あら何かしら?」 桐乃「アタシが分かったのは、アンタ達に正義は無いって事よ……」 沙織「なっ!?きりりん氏一体何を」 桐乃「正義はアタシが決めるわ!サンドロックこそが至高、これは譲らないわ!」 黒猫「往生際が悪いわよ。いくら貴方が吠えた所で戦いは数よ。すでに雌雄は決していてよ」 沙織「黒猫氏の言う通りでござるよ。きりりん氏も知っているでござろう?いくらガンダムが強くとも圧倒的な数のサーペントに屈した事を」 82 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 01 24 55.58 ID PcyyR02TO 桐乃「そうね…。ツインバスターライフルで本丸を一気に叩けるならともかく、現実はそう上手くいかない」 黒猫「あら、分かっているじゃない?ならば諦めなさいな」 桐乃「あら、なんで?アンタが言ったばっかりじゃない、戦いは数だってね」 沙織「そうですぞ、ですから1対2で我々の勝ちでござらんか?」 桐乃「ノンノンノン。甘いわねアンタら。ウイングガンダムでリリーナを落石から救う程に甘いわよ」 沙織「な、何を言っているのでござるか?確かにあの時の制服姿のヒイロ殿にはグッとくるものがありましたが」 黒猫「…話を脱線させないで頂戴」 桐乃「アンタ達に問うわ。ここは何処かしら」 黒猫「何処って…貴方の家の貴方の部屋。……ま、まさか!?」ビクッ 98 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 01 37 43.45 ID PcyyR02TO 桐乃「そう、そのまさかよ!あんなバカ兄貴でも居れば役に立つもんね」 沙織「ま、まさか京介氏を同志に引き入れるつもりでござるか!」 黒猫「お、落ち着きなさいな…。兄さんがあの女と同じ様にサンドロックが好きとは限らないわ。むしろ逆の可能性の方が高いのだもの!」 桐乃「あっるぇー?もしかしてビビッてんのアンタぁ。ま、嫌なら別にいいんだけどさー」 沙織「く、黒猫氏…。どうしましょうか…?きりりん氏のあの自信は…」ゴクリ 黒猫「お、落ち着きなさいな…。このまま終わらせてはあの女の思う壺よ。兄さんと言う猫箱を開かないまま、この論議はどこかの片隅に放置されたままになるわ。…そう、終わらないワルツの様に永遠にね」 沙織「しかし、その猫箱に蛇が潜んでいたらどうするでござる…!」 110 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 01 49 44.65 ID PcyyR02TO 桐乃「あららー。残念だなぁ、折角いい勝負になりそうだったのになぁ」 黒猫「意を決しなさい、沙織。私は終わらないワルツ、この連鎖を断ち切るわ」 沙織「…なっ!?」 黒猫「冷静に物事を考えなさいな…。最悪兄さんが、あの女と同じ崩壊したセンスの持ち主だったとしても、状況は2対2。つまり戦況はイーブンになるだけよ」 沙織「な、なるほど…。流石は黒猫氏、指揮官の如し冷静な判断でござるな!」 黒猫「あら、なんだかそれはイメージが悪いわね」 桐乃「はぁ?なんか分かんないけどアンタ今サンドロックの悪口言ったでしょ!」 黒猫「あら、そんなはず無いわよ。少々被害者意識が強いんじゃないかしら?」 沙織「…ともかく、我々はこの決闘受けてたちますぞ!さぁ、京介氏に御意見を」 122 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 01 59 35.58 ID PcyyR02TO 桐乃「(ふぅ…。どうにか持ち込めたわね。ハッタリが功を奏したかな…。あの馬鹿兄貴が高尚なサンドロックを理解できるかわかんないけど、こうなったらなんとしても…)」 黒猫「あら、何を一人でブツブツ言ってるのかしら?」 桐乃「べっ、べっつにー!?何でもないってーの!ほら早く入るわよ」ガチャリ 黒猫「…貴方。ノックくらいしなさいよ」 沙織「……おや?京介殿の部屋はもぬけの殻ですな」 桐乃「アレ?おっかしーわね。玄関に靴があったから家にはいると思うんだけど…」 黒猫「………」ピクッ 沙織「どうしたでござるか黒猫氏?」 桐乃「何よ?今は物色してる暇は無いわよ、デス猫」 131 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 06 17.26 ID PcyyR02TO 黒猫「何故ナチュラルに物色が選択肢に入っているのよ…。いいから耳を澄ましなさいな」 桐乃「うん……?なんか曲が聞こえるわね」 沙織「…この歌い方は、L Arc~en~Cielですかな。下から聞こえてきますな」 桐乃「下って…、居間よね。なんでそんなトコから…。アイツ、そんな音楽趣向じゃなかった気がするけど」 黒猫「貴方の兄さんの趣向はいいから、サッサと行くわよ」 桐乃「わ、分かってるっつーの!早く白黒付けようじゃないの」 154 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 19 38.70 ID PcyyR02TO 桐乃「あっ・に・きっ!!」バッターン! 京介「…!?お前、もう少し慎ましく行動できねぇのかよ」 桐乃「うっさいな、今日はお父さんもお母さんも居ないからいいでしょ」 京介「そういう問題じゃ…。って、お前ら来てたのか」 黒猫「えぇ。お邪魔しているわ、兄さん」 沙織「居間にいるなど珍しいでござるな」 京介「まーな。ちょっと野暮用があってな」 桐乃「さぁ、それじゃ早速審判の刻よ!アンタも協力しなさい」 京介「あのな…。話を聞けよ!野暮用があるって言ってるだろ」 桐乃「あん?何よ野暮用って、居間でゴロゴロしながらテレビ見てるだっしょ」 黒猫「テレビ……。あらこれはガンダムかしら?でもこんな光の粒子を撒き散らすモビルスーツなんていたかしら…」 162 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 27 43.42 ID PcyyR02TO 京介「何言ってんのお前?主役モビルスーツだぞ、これ」 黒猫「兄さんと言えども見え透いた虚言は止めて頂戴な。主役は翼、もしくは翼零、翼零改造じゃないの?もっとも改造はプラモデル化にあたっての名称だけれども」 桐乃「全部さっきの受け売りじゃない。兄貴の前だからって良い格好しようとすんな」 黒猫「う、うるさいわね!お黙りなさい」 京介「ウイング…?カスタム?ちょっと待てよ、お前ら何の話をしてんだ」 黒猫「何ってガンダムに決っているでしょう。兄さんこそ何を宣っているの」 京介「俺だってガンダムの話だってーの」 桐乃「はぁ?アンタ、デス猫に構って欲しいのかしんないけど、嘘は止めてよね!」 沙織「ち、…違うのですきりりん氏。京介氏も黒猫氏も嘘は言っていないのでござるよ…」 桐乃「…はぁ?」 172 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 37 17.53 ID PcyyR02TO 京介「だから、俺は赤城から借りたガンダムダブルオーってヤツを見てるんだよ」 桐乃「……!?」ビクッ 黒猫「だぶるおー…?サブタイトルは、ウイング。またはエンドレスワルツではなくて」 沙織「それもまた嘘ではありませんぞ。そもそもガンダムというのは三十年以上前に放送していた作品なのです」 京介「さ、三十年!?俺たちが生まれ前じゃねぇかよ」 黒猫「沙織まで何をふざけた虚言を…。この様なCG処理が三十年以上も前に出来るはずがないわ!」 京介「そうだぜ…。黒猫の言う通りだ、ちゃんとカラーだしよ」 179 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 47 24.69 ID PcyyR02TO 桐乃「三十年前もカラーはカラーだっての」 沙織「一番最初に放送されたのがそのガンダムですな、他と区別する為にファーストと呼ばれています」 黒猫「…と言う事は、兄さんのダブルなんとかと、私達のウイングはその続編と言う事?」 沙織「どちらもファーストと直接的な繋がりはありませんが、そういう事でござるよ」 京介「うん…?繋がって無いのに、同じガンダムなのか」 桐乃「あー!ったく、相変わらずアンタの脳味噌腐ってんじゃないの」 京介「んだよ!いきなり、蹴るなっての」 沙織「分かりやすく言うと、FFの様な物でしょうかな?世界観や用語を引き継いでいるパラレルワールドなのです」 黒猫「…なるほど、そういう事ね」 182 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 02 57 57.92 ID PcyyR02TO 京介「…んで、何?なんでコイツこんなにキレてるんだよ」 黒猫「貴方、兄さんにそんな高圧的な態度で己の軍下に引き入れようとするのは止むなさいな」 桐乃「違うってーの!これはそれ以前の問題よ。同じ家にこんなヤツが生息している事がね!」 黒猫「…?貴方は一体何を先程からカリカリしているのよ。カルシウムを多量に摂取なさいな」 京介「なぁ、俺なんかお前の気に障る様な事したかよ?」 桐乃「これよ!このDVDに決ってるでしょ!」 沙織「それは京介氏が借りて来たダブルオーですかな?」 京介「これがどうしたよ?別にエロいもんでもないし、普通のロボットアニメだろ」 260 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 21 46 39.00 ID PcyyR02TO 沙織「そうですぞ、それは一番きりりん氏が良く分かっているのでは」 桐乃「分かってるからムカついてんのよ」 黒猫「貴方。兄さんに構って欲しいからって、意味も無く暴れるのはお止めなさい」 桐乃「ちがうってーの!んじゃアンタに問題」 京介「問題…?なんだよいきなり」 桐乃「いいから黙って答えるの!」 沙織「京介殿。ここは一つきりりん氏の言う通りにしてくださりませんか」 京介「うん?まぁ、別にいいけどよ」 261 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 21 59 44.17 ID PcyyR02TO 桐乃「じゃあ、単機で拠点を制圧できる性能をもった、一騎当千の主役モビルスーツの名前は?」 京介「えーと、何だったかな…。背中にベーゴマみたいなん背負ってる…。エクレアとかなんとか」 沙織「ガンダムエクシアですぞ」 京介「あぁ、それだそれ!」 桐乃「んじゃ、次。モビルスーツのGに耐えられずに、吐血したエースパイロットは?」 京介「これは簡単だな。グラハム・エーカー中尉だろ」 沙織「ですな。これは正解ですぞ」 黒猫「フルネームでスラスラ答えられるなんて凄いわね…。流石は兄さんだわ」 264 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 08 24.22 ID PcyyR02TO 京介「でさ、これに何の意味があるんだよ」 桐乃「これで最後ね…。そのロボットアニメのタイトルは何?」 黒猫「何を言ってるの?そんな分かりきった問題、クイズにもならないわよ」 桐乃「デス猫は黙ってて。さぁ、応えなさいよ兄貴!」 京介「だから、さっきから言ってる通りガンダムダブルオーだろ?なぁ沙織」 沙織「はい、その通りですぞ。見事全問正解ですな」 京介「おうよ。…どうだ桐乃、これで気がすんだか?」 桐乃「んなわけ無いでしょ!アンタの答え、全問不正解。零点だからね!」 黒猫「見苦しい負け惜しみは止めなさいな。沙織も一緒に採点していたでしょう」 沙織「……はッ!?ま、まさかきりりん氏…」ピクッ 265 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 15 05.68 ID PcyyR02TO 桐乃「そのまさかよ!問い1は、自爆装置搭載のウイングガンダム。問い2は、故郷のサンクキングダムをトールギスで奪還しようとしたゼクス・マーキス!」 黒猫「……と、言う事は問い3は新機動戦記ガンダムWね?」 桐乃「その通りよ!」 京介「どういう事だ…。俺の答えだって間違ってないんだろ?」 桐乃「そうねぇ。確かにアンタの答えも正解だわ。それが何を意味してるか分かんないかな?」 京介「な…なんだよ?」 桐乃「つまり…。ダブルオーはウイングの人気にあやかったパクリ作品にしか過ぎないって事よ!」 京介「な、…なんだと!?」 267 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 25 23.69 ID PcyyR02TO 黒猫「でも言っていたではないの。ガンダムと言う冠がつくからには多少設定が被るのは仕方が無い事でしょう」 桐乃「多少じゃないって!あのグラハムとかいう芝居染みた言動するパイロットとか、トレーズとゼクスを足して二で割ったようなもんでしょ!」 黒猫「…その辺りの詳しい事は私は分からないけれども。どちらも貴方が好きなガンダムでしょう、仲良くしなさいな」 桐乃「全然違うわよ!アタシが好きなのはガンダム全般じゃなくて、ウイングっていう作品なの」 沙織「うーん…、その様な外伝『右手に鎌を、左手に君を』の皆川氏の後書きの様な事を申されましても…」 桐乃「うるさいわね、正義はアタシが決めるの。兄貴、アンタは間違ってる!」 271 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 34 58.01 ID PcyyR02TO 京介「……桐乃、お前は正しいのか?」 桐乃「な、何よ…?マジな顔して」 京介「お前は本当に正しいのかと聞いている!」 黒猫「ちょっと、兄さん余り熱くならないで」 京介「確かに俺は、あんまり詳しくねぇけど折角赤城が貸してくれたDVDだぜ。頭ごなしに否定されりゃカチンとくるっての」 黒猫「それもそうね…。ほら早く兄さんに謝りなさいな」 桐乃「嫌よ!これは私達兄妹の問題なの。デス猫は黙ってなさい。アタシはこのウイングの丸パクリ作品に現を抜かす馬鹿兄貴が許せないの!」 沙織「……はて?丸パクリ…」 黒猫「うん?どうしたのかしら、沙織」 277 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 46 45.80 ID PcyyR02TO 沙織「きりりん氏、少しよろしいですかな…?」 桐乃「何?いくら沙織でも譲れない…。騎士道精神なんか関係ないわ。今の私はミリアルドなんだから!」 京介「……なぁ、黒猫。アイツ何を言ってるんだ?」 黒猫「…私に振らないで頂戴。異界の聴覚を持ってしても解読は出来ないわよ…」 沙織「きりりん氏はダブルオーをセカンドシーズン合わせて、全て視聴 したのですかな?…それで、なおウイングの丸パクリと?」 桐乃「そ、それは…!?」ピクッ 黒猫「…あら。あらあらあら。どうしたのかしら、さっきまでの勢いはどうしたの?」 桐乃「う、うっさいな!ニタニタすんなっての」 288 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 22 59 36.00 ID PcyyR02TO 京介「どういう事だよ、沙織?」 桐乃「いいじゃん!ちゃんと最初の二、三話は見たんだから」 黒猫「…はぁ。全く呆れて物も言えないわね。貴方が言っていた事でしょう、内容を理解してからでないと批判は出来ないと」 桐乃「だ、だって…アタシのウイングを……。サンドロックを汚されるのが許されなかったのよ!」 沙織「ふむ…、そういう事でしたか。京介殿、きりりん氏の気持ちも分かってあげてくれませんか?」 京介「いや…、分かるも何も殆ど理解出来なかったんだがな」 黒猫「兄さんは何も気に止む事はないわよ。全てはこの砂岩馬鹿が悪いのだから」 桐乃「うっさい、デス猫!アタシの悪口も駄目だけど、サンドロックの悪口言うなっての!」 黒猫「全く…、相も変わらず口の減らない女ね」 295 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 23 13 30.57 ID PcyyR02TO 沙織「ふむ、ならばこうしましょうぞ。京介氏、ダブルオーのDVDはどこまで見ましたかな?」 京介「うーん。まだ残り何枚かはあるんだけど、最終回みたいだぞコレ?」 沙織「25話ですか。結構々、ちょうどファーストシーズン全てですな」 黒猫「沙織…、貴方何を企んでいるの?」 沙織「京介殿ときりりん氏。今から作品を交換して視聴するのです」 桐乃「はぁ…!?アタシがダブルオーを?冗談止めてよマジありえないから!」 黒猫「いい加減理解しなさいな…。沙織は貴方に歩み寄る機会を与えているのよ?いつまでも兄さんとガンダムで対立したままでいいのかしら」 桐乃「ぐっ…、それは…」 京介「まぁ俺はいいけどさ。でもこのアニメ話ややこしいから見直したりして時間かかるぜ」 黒猫「兄さんの気持ちは分かるわ。幼稚で陳腐などこぞのキッズアニメとは違うわけね。私もマスケラは何度も見直して、理解をするまでに時間が掛かるもの」 桐乃「うっさいデス猫、さり気なくメルルも批判すんなっての!」 沙織「そうですなぁ…。ならば拙者が京介氏の横について要所々で説明しましょうぞ」 300 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 23 20 42.11 ID PcyyR02TO 京介「助かるぜ、それなら一発で理解できるな」 桐乃「ちょっと待ってよ、それじゃアタシはどうするの?」 沙織「あ。そういえばそうでしたな…。拙者の身体が二つあれば…」 黒猫「お待ちなさいな。私を忘れているのでは無くて?」 桐乃「デス猫はダブルオー知らないでしょ、居ても意味ないってーの」 黒猫「えぇ、だから私が兄さんに付いて沙織が貴方に付くの。これでいいでしょう」 桐乃「良くないって!アンタ兄貴と一緒に居たいだけっしょ。第一、OVAしか見て無いし!」 黒猫「何も問題はないわ、宇宙の心が教えてくれるもの」 307 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 23 30 26.42 ID PcyyR02TO 桐乃「宇宙の心ぉ…?アンタ、中二病に飽きたらず電波まで発生したの」 黒猫「聞き捨てならない事を…。まぁいいわ、コレよ、コレ」 桐乃「なっ…!?それはアタシの部屋のガンダムWの設定資料集」 黒猫「私程の堕天聖ならば、この程度の補助で充分よ」 沙織「そうですな。黒猫氏もアニメに関しては熟練…、問題はありませんな」 黒猫「そういう事ね。大丈夫よ、問題無いわ」 桐乃「問題あるっての!兄貴と二人っきりで…!?」 京介「何怒ってんだよ、お前?」 320 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 23 43 10.96 ID PcyyR02TO 黒猫「さぁ、五月蠅い邪気が去った所で静かに観賞しましょうか」 京介「うん?あぁ。それじゃ桐乃から借りたDVDを…」 黒猫「どうしたのかしら?兄さん」 京介「これ、1995年って書いてあるぞ?」 黒猫「そうね。平成ガンダムと呼ばれていたらしいから、その辺り年代かしら」 京介「俺が四つん這いで歩いてた頃ぐらいか…。それにしては、最近のヤツに負けないくらい気合いのはいったパッケージだな」 黒猫「あら、そこに目をつけるとは流石は兄さんね。ますます異界の存在に近付いているわね」 京介「いや…、それは俺喜んでいいの?」 327 以下、名無しにか - 2011/02/23(水) 23 52 36.48 ID PcyyR02TO 黒猫「まぁ、人の言語に翻訳すると。当時はDVDなど無くてVHSが主流だったみたいよ」 京介「ぶいえっちえす…ビデオテープか」 黒猫「そう。だから兄さんが手にしているのは当時の物ではなく、何度も再販された物よ」 京介「何度も…?どういう事だ」 黒猫「DVDにDVDBOX、それにBD…。最新の機器で再生出来る様に常に生産され続けているのよ」 京介「あー…、そういや桐乃もメルルの説明んときにそんな事言ってやがったな。ボックスがなんだ、北米版がなんだーって」 329 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 01 24.03 ID C/VmI5OlO 黒猫「あら?あらあら。兄さん、流石よ。流石ね兄さん」 京介「な、なんだよ…!ジリジリ距離を縮めてくるな。分かったって。新しく発売したからパッケージも書き直したんだろ?」 黒猫「そこではないわ。その後の事よ」 京介「後って…?」 黒猫「北米版よ、北米版。宇宙の心によればガンダムWはアメリカにも吹き替えられて現地で放映されたようよ」 京介「へぇ…、そうなのか?でもこれだけ長い事続いてるんだもんな」 黒猫「ただ、そこで面白い逆転現象が起きているみたいなのよ」 京介「逆転現象?どういう事だ」 334 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 12 31.06 ID C/VmI5OlO 黒猫「海の向こうで放映されたのは、ガンダムWが初めみたいなのよ。ほら、この宇宙の心の31ページ目に書いてあるわ」 京介「いや、普通に設定資料集って言えよ…。って事は向こうじゃ、このウイングがファーストガンダムってヤツになるのか」 黒猫「そういう事よ。その後に放映された、こちらで言うファーストは余り人気が無かったようだけれども」 京介「そうなのか。まぁ、こっちと向こうで感覚が違うのかも知れねぇな」 黒猫「どちらにせよ、遥か異界の地でも砂岩が不人気なのは変わりない事だと思うわ。宇宙の心が教えてくれるもの」 京介「…そんなんどこにも書いてねぇって」 339 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 24 53.42 ID C/VmI5OlO 桐乃「びゃっくしょんッ!」 沙織「おや、きりりん氏。風邪気味でござるか?」 桐乃「いや…、なんかデス猫がアタシのサンドロックを馬鹿にしたような…」 沙織「おやおや、きりりん氏も脳量子波を受信出来る様になりましたかな?」 桐乃「のうりょうしは…?何ソレ」 沙織「このティエリア・アーデの特殊能力といった所でしょうか」 桐乃「あぁ…、あの嫌味ったらしいメガネくんね」 沙織「おや。余りお好きではござらんか?」 桐乃「だっていっつもツンケンしてんのよ?少しは協調性持ちなさいよ!」 沙織「ふむふむ。ごもっともでござるな」 桐乃「うん…?なんでアンタニヤニヤしてんのよ」 341 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 33 42.94 ID C/VmI5OlO 黒猫「ほら、御覧なさい兄さん。ここでOPのこのシーンが本編の使い回しから、描き下しカットに変わるのよ」 京介「へ、へぇ…」 黒猫「あら…?随分と反応が薄いわね。もしかして兄さんには合わかったかしら」 京介「いや、ダブルオーとは違ってこれはこれで面白いんだけどさ…」 黒猫「何かしら?言ってご覧なさい」 京介「いくら面白いモンでも、流石に何時間も続くと辛ぇーって…」 黒猫「そうかしら?私は全然平気だけれども。兄さんと一緒なら全然平気だけれども」 京介「あぁ、うん…。悪ぃけど居間にコーヒー入れてくるわ。お前も何か飲む?」 黒猫「それじゃあ、ローズティーをお願いするわ」 京介「そんなエレガントな飲み物ウチにねーって」 黒猫「あら、兄さん。貴方も随分OZを理解出来る様になったわね」 346 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 46 50.31 ID C/VmI5OlO 桐乃「……アンタ何してんの?」 京介「おう、桐乃。ウチにローズティーとか無かったか?」 桐乃「はぁ?ある訳無いでしょ。地味子にもらった緑茶でも啜ってろっての」 京介「うるせぇ、緑茶バカにすんな」 桐乃「フン!」 京介「……そうだ桐乃」 桐乃「何よ?アタシ早く戻って続き見なきゃなんないんだけど」 京介「お前、あのOP曲のCD持って無いの?」 桐乃「OPって、JUSTCOMUNICATONの事…?」 京介「そう、それそれ。何十回も繰り返し聞いてたら耳に残ってさ」 桐乃「何十回って…。OPなんか早送りすればいいじゃん」 349 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 00 53 59.11 ID C/VmI5OlO 京介「黒猫のヤツがさ、OPも含めて一つの作品だからーとか、なんとか言って」 桐乃「…あんのデスサイズ猫カスタム。人の兄貴に勝手な事吹き込んで…」 京介「んで、あるの?ねぇの?」 桐乃「あ、ある訳無いじゃん!アタシが四つん這いくらいの時に発売したヤツだもん」 京介「そっか。そういうそうだよなぁ」 桐乃「あ。でも、iPodに入ってるから…、後で聞かせてあげてもいいけど…」 京介「ほんとか?サンキューな桐乃」 桐乃「え…!?あ、…うん。別にいい…」 354 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 01 05 33.01 ID C/VmI5OlO 桐乃「…………」 沙織「おや、きりりん氏何やら先程よりも顔が赤くなっておりませんか?…やはり風邪気味なのでは」 桐乃「え!?あ、うん。違うって、全然大丈夫!はい、コレあんたの分のコーヒー!」 沙織「おぉ、これはかたじけない。やはり、アニメ観賞には少々砂糖の入ったほろ苦いコーヒーが…」ピクッ 桐乃「……………」 沙織「ブッ…!」パーーン! 桐乃「…はっ!?ちょっとアンタ何あたしのディスプレイにコーヒー射出してんの!」 沙織「ぐぶっ…!き、きり氏…コーヒーに砂糖ではなく塩が…。大量の塩が…!」 桐乃「塩…?あぁ、ゴメン。アタシぼーっとしてて間違えたかもしれない!」 355 以下、名無しにか - 2011/02/24(木) 01 13 18.90 ID C/VmI5OlO 黒猫「兄さん…、少しいいかしら」 京介「うん?どうした。お前からアニメの質問なんて珍しいな」 黒猫「違うわ…。私が問詰めたいのは、私達が啜っている、このエレガントのベクトルとは違う方向の飲み物の事よ」 京介「緑茶か?薔薇は入って無いけど同じ茶じゃねぇか」 黒猫「随分とアバウトな見解なのね…。まぁ、兄さんが淹れてくれたお茶と言う事で妥協しましょう」 京介「妥協ねぇ。そう言うなよ、麻奈実にもらった結構高いヤツなんだぜ」 黒猫「……なるほど、この不快なプレッシャーの原因が分かったわ」
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じゃあ……また明日ね。 「おう。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界の中。あたしはいつもと変わらない背中で歩くあいつを見えなくなるまで眺めた。 どうしてあんなに平然としていられるのよ。あたしに告白しといて……。 そりゃあたしはたくさん告白されたしたくさんフってきたし、たくさん付き合ってきたわ。 でもね、こんなに近い人間に告白されたのは初めてなのよ。そう。あたしにとって『どうでも良くない人間』に告白されたのが初めて。 気がついたらいつも一緒にいる男。キョン。あんたはあたしを好きだって雰囲気なんて一切見せなかったじゃない。 なんでいきなり告白なんかするのよ。ふざけないでよ。あたしだってそうとわかってればそれなりの心構えで行ったのに。 心臓も頭も体も変になっちゃったじゃない。あ、立ってらんない……。 ベンチに座っていいかな? もうすぐ暗くなりそうな時間なんだけどさ。 キョンに告白された川沿いのベンチ。一度は立ち上がったけどもう一度そこに座り込んだ。 やばい。あたしとしたことが予想してなかったわ。まさかキョンがあたしを好きなんて。 だってこれまでそんな素振りは一回も見せなかったじゃない。 好きな人がこれだけ近くにいるなら何らかの動きがあるはずでしょ? いつもあたしじゃなくてみくるちゃんとか有希ばっかり見てるくせに……。 「なんだ。まだ居たのか?」 うひゃっ!? あ、あああんたこそなんでまだいるのよ! 「……お前が座布団にしてる物が何かわからないのか?」 不意に気付くお尻の下の感触。キョンのカバンがそこに置かれていた。 「さっさと退いてくれ。帰れん」 「はいはい。ちょっと待ってなさ……」 ちょっと待つのはあたしの頭の中よ。ここで退いたらキョンはあたしのお尻に敷かれた温もりのあるカバンを持って帰ることになるのよ? そんなの恥ずかしいじゃない! ここは意地でも退けないわ! 「おい。声に出てるぞ。いくら俺がハルヒのことを好きだからってそんな変態のような真似はしないからさっさと渡せ」 口に出てたかしら? いや。でもキョンが何と言おうが渡せないわ。 「そうか。じゃあ俺も横に座って待つぞ。……よっと」 ……しまったわ。こんな頭の中がグチャグチャの時にキョンが隣りに座るなんて予想外だわ。 そもそも平常心でいられるこいつは本当になんなのよ。軽い気持ちの告白? それは無いわね。あれだけ熱意のこもった告白受けたのは初めてだもん。 まさか平常心を装ってるのかしら? それはあるかもしれないわ。 あたしから手を触られたら意外に真っ赤になったりして。真っ赤なキョンなんてなかなか見れないわよね。 試してみる価値はあるわ……。 ベンチを見下ろすと二つの手が見える。あたしのちっさい手とキョンの意外におっきな手。 そういえばお互いに手を繋ぎあったことって無いのよね。いつもあたしが引っ張るだけで。 ちょっと繋いでみたいかも。……でも繋いじゃったら単純なキョンは勘違いしそうね。 あたしが告白をOKしたって思い込みそう。 それはそれでいいのかしら? あたしはどう返事しようとしてたんだっけ? あー。わかんない。心臓が脈打つ。頭がグラグラする。目が回る。 あたしはキョンを好きなの? 好き嫌いで言ったらそりゃ好きよ。 じゃあ恋愛感情は? 考えたこともないわ。だってこれまで通りでも楽しかったんだから。 返事を出せないあたしは何を考えてるんだろ……。 「おーい」 なによ。マヌケな声なんか出しちゃって。 「お前こそ何なんだ。俺の手をいじくりまわして」 キョンの右手があたしの両手に包まれてることを視界に入れた。……あたしってバカ? 無意識でこんなことしてるなんてあたしの方が変態じゃない。 「まぁだいぶ暖かいけどな。お前の手も暖めようか?」 キョンは何も気にしてないみたい。これくらい今まで通りよね。あたしが意識しすぎか。 「そうね。頼むわ。しっかり暖めなさい」 キョンの両手があたしの両手を包んだ。あー、暖かいわ。やっぱり思った通り安心感がある。 まるで小さい頃に握られた親父の手みたい。 「返事は……」 キョンはあたしの手を暖めながら口を動かしてた。あたしの顔を見ながら。 「返事はお前が口で言うまで待つからな。だからこうやって手を握ったって何されたってお前が言葉でOKを出すまでは俺達は『団長』と『団員』だ」 何が言いたいのかよくわからないわよ。バカキョン。でもなんとなくわかった気がする。 たぶんキョンはあたしに時間をくれたんだわ。考える時間を。 その優しさは本当にうれしい。でもね……キョンのくせに上から目線なのがムカつくわ。 今のセリフを逆手に取って反撃してやるわ。あたしはいつでも上じゃないとイヤなの。 「キョン。それはあたしが何をしても付き合ったりフったりしたことにならないわけよね?」 「その通りだ。お前が俺に全力ビンタをかまそうがフったことにはならん」 なかなか面白いじゃない。ちょっとこっちに寄りなさい。キョン。 「うげ……マジか」 キョンは本当にビンタをされると思ってるみたい。思いっきり目を瞑ってる。 でも違う。あたしの反撃はそんなもんじゃないの。 「ちゅっ」 これがあたしの反撃。何故か一回だけあった夢の中を含めたら二回目。現実なら初めてのキョンとのキス。 「は? 今、ハルヒお前……?」 今日は帰るわ。返事は保留にしとくんだからね! 生殺し作戦とでも呼んどくわ。キョンは期待するだろうけどまだ付き合ってはないって状況でイライラさせたげるのよ! ふふふ。楽しくなってきたわ。 「今度こそまた明日ね! バイバイ、キョン!」 目覚めもよく、あたしはいつもよりさらに早く学校へと向かった。 昨日のモヤモヤも全部なくなったし足取りも軽いわ。今日も教室に一番乗……り……。 「よう。遅いなハルヒ」 あり得ないわ。なんで遅刻まであと一時間半もある時間にキョンがいるのよ。 今日は雨……が降りそうな気配もないわ。なにがあったのよ。 「誰かさんのせいで昨日眠れなくてな。しょうがないから早く学校に来たわけだ」 あ。昨日のアレは結構キョンに効いちゃったみたい。あたしは全然問題ないんだけどさ。 「確かにOKを口で言うまでとは言ったがあんなことされるとさすがに期待するだろ?」 確かにそれはわからなくはないわね。でもあんまり気にしちゃダメよ。 あんたは団員としての使命も全うしなくちゃダメなんだからね! 「そう思うなら早く結論を出してくれ……」 そう言うとキョンは机に突っ伏して寝息をたてはじめた。本当に寝れなかったみたいね。 あたしは自分の席について寝息で上下するキョンの背中を見つめた。 この背中が好き。この雰囲気が好き。だけど付き合うのは迷う。どうしてかって? あたしは今の状況が好きなの。もしも告白をOKしてこの環境が変わったらどうしようとか思っちゃうと簡単に返事出来ないのよ。 可能ならずっと返事をはぐらかしていたいわ。ずっと友達以上。恋人未満のままで……。 そんな関係を続けてもう一か月くらい経ったかな。変化なんて急に起こるもの。 やっぱりいつまでもこのままなんて理想は続かないみたい。 あたしは前と同じ時間。同じ場所にキョンに呼び出された。ただ一つ違うのはキョンから感じる雰囲気が全然違う。 「いつまで俺をおちょくるんだ?」 言葉にトゲがある。明らかにわかる怒りがあたしに向いてる。 「いつも朝比奈さんで遊んでるように今回は俺で遊んでるのか?」 ち、違うわよ。あんた言ったじゃない。返事はあたしが口で言うまで待つって。 「限界って物があるだろう。やけに俺にひっついてくるくせに返事ははぐらかす。そんなの我慢出来なくなって当然だ」 確かにそうなんだけど……。あたしは答えを出すのが恐い。この生活が変わるのが。 でもこのまま答えなかったらキョンが怒って生活が変わっちゃう。 「……じゃあどうすればいいのよ! あんたのせいであたしはずっと悩んでるのよ!?」 違う。あたしはこんなことが言いたいんじゃない。 「俺もお前のせいで悩んでるんだ!」 ほら。あたしのバカ。キョンが怒っちゃったじゃない。謝りなさい。今すぐに。 「……やっぱり無理だったか。すまんなハルヒ。悩ませて。もういいから」 ダメ。それ以上言わないでよ。それ以上言われる前に謝りなさいよ。あたし! 「告白する前に戻るぞ。じゃあな。ハルヒ。また明日」 夕焼けに赤く染まる世界に消えていくキョン。こないだみたいに見つめるしか出来ないあたし。 なんで肝心な時には動けないのよ。今追いかけて捕まえて謝れば間に合うでしょ? なんで動けないのよ……。 結局追いかけることが出来ないままあたしはベンチに座り込んだ。 結局元には戻れないと思う。あんなケンカしちゃったら明日からもう……。 あー。マズいわ。涙が出て来ちゃいそう。泣くのなんて何年ぶりかしら? 周りに誰もいないし泣いてもいいわよね? たぶん泣いたらすっきりするわよ。 人通りが元々少ない場所だったからよかったわ。あたしが泣いても誰にも迷惑かけてないし。 はぁ……。キョン。キョン。大好きだったのよ。でも変わるのが恐かったからしょうがないの。 だからまた明日からは仲良く……。 「何を泣いてやがる」 ……また来るのね。泣いてないわよ。今度はなんで戻ってきたのよ。 「そんなに俺のカバンの上は居心地がいいか?」 どうやらまたカバンを忘れてその上にあたしが座ってるみたい。ほんとバカキョンなんだから。 「帰りたいから退いてくれないか?」 「やだ」 「じゃあ隣りに座らせてもらうぞ」 羞恥プレイ? いやがらせ? ともかく性格悪いわ。普通は女が泣いてたらそっとしておくでしょ。 しかもほんとに黙って座ってるだけだし。優しい言葉の一つでもかけなさいよ。 そりゃあたしが返事しなかったのが悪いから言葉なんてかけたくないだろうけどさ……。 「……返事」 「ん?」 そうよ。あたしはまだ返事してないもん。じゃあまだ大丈夫じゃない? 「告白の返事。OKだから。付き合ってあげるわ」 「…………」 やっぱりダメ? ちょっと都合良すぎるわよね。仲がギクシャクするくらいなら付き合いたいって思ったけど手遅れよね。 「……やれやれ。わがままな奴だな。そんなわがままな所も含めて好きなんだが」 キョンが優しくあたしの肩を抱き寄せる。……腫れた目見られちゃう。 「いいな?」 ここでキスしたらもう戻れない。けどよく考えたら全然心配いらないわよね。 だってケンカなんてしなきゃいいのよ。いつもお互い大好きでいればギクシャクしないじゃない。 あたしとしたことが久しぶりの色恋沙汰で弱気になってたわね。 「あたしが窒息するくらいまでやってちょうだい」 瞬間、キョンの唇があたしに当たった。手の暖かさと同じくらい安心する暖かさ。 『友達』では味わえない感覚。やっぱり『恋人』を選んでよかったわ。 もう一生離れないわ。あたしの性格やプライドねじ曲げてでもキョンとはケンカしないんだから! 「……もう限界だ。改めてよろしくな。ハルヒ」 窒息まではいかなかったけどしあわせで満腹にはなったから許したげる! 改めてよろしくね。キョン! つづく 次は『恋人以上……?』です
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風景を薄っすらと染める朝もやの中、ジョセフ達は馬に鞍をつけていた。 三人とも普段通りの格好をしているが、長い時間乗馬し続けなければならないということで、普段の靴ではなく乗馬用のブーツを履いていた。 距離があるにせよ、さしたる不安はジョセフにはない。 一睡もせずに主従揃って侃々諤々の大討論を繰り広げたものの、部屋を出る前に波紋をルイズに流したので、彼女からは十時間熟睡して目覚めた朝のように眠気も疲労も消えている。 デルフリンガーは意外と長尺の剣なので背中に背負うか腰に差すか悩んだが、利便性を考えて左腰にぶら下げることとなった。 「ところでジョジョ。僕も使い魔を連れて行ってもいいかい」 「なんじゃギーシュ、お前も使い魔なんか持っとったんかい」 「そうでなかったら僕も進級出来てないじゃないか」 「そう言えばあんたの使い魔って見た事がないわね。なんだったっけ?」 ルイズの問いに、ギーシュは地面を指差した。 「ああ、ここにいるよ」 「何? 見えないわよ。アリンコでも使い魔にしたの?」 ルイズが目を細めながら地面を見ていると、ギーシュはくすりと笑って後で地面をノックした。 すると地面がぼこりと盛り上がり、そこから茶色の巨大な頭と前足が現れた。 「……何じゃこれ」 「……私に聞かないでよ」 すぐには正体が判らない二人をさておいて、ギーシュは地面に跪いて茶色の生き物を抱きしめた。 「ヴェルダンデ! ああ、僕の可愛いヴェルダンデ!」 「あーと。なんじゃそのでっかいモグラみたいな生物は」 「見たまんまじゃないかジョジョ! これが僕の可愛い使い魔のヴェルダンデだよ!」 「……ああ、ジャイアントモールだったの?」 ルイズの言う通り、それは巨大モグラだった。大きさは小熊ほどもある。 「そうだよ。ああヴェルダンデ、君は相変わらず可愛いね。どばどばミミズはたくさん食べたかい?」 モグモグモグ、と嬉しそうに鼻をひくつかせてつぶらな瞳で主人を見上げるモグラ。 「そうか、美味しかったかい!」 ギーシュは巨大モグラを抱きしめて頬ずりしまくっていた。 「……色々コメントに困るのう」 モンモランシーとの橋渡しをしたことをちょっと後悔したジョセフである。 主にモンモランシーにいらんことしちゃったかなーという類の。 「でもギーシュ、いくらなんでもアルビオンにモグラは連れて行けないわよ。留守番させなさい」 「そんな! こう見えても僕のヴェルダンデは馬と同じくらいの速さで土を掘れるんだよ!」 モグラはおー、と言わんばかりに前足をちょこんと上げてそうだそうだと主張した。 「あの国で地面掘ったりする生き物なんか危ないからダメよ」 きっぱりと言い切るルイズの言葉に、ギーシュは愕然と膝をついた。 「ああ、何という事だヴェルダンデ! 熾烈な運命は僕達を引き裂くんだね!」 脚本主演観客総勢一人の芝居に明け暮れる主人をさておいて、モグラはのそのそと穴から這い出るとルイズへと近付いていく。 「な、なによ」 つぶらな瞳で見上げてくるモグラに気圧されたルイズを、モグラが勢いよく押し倒した。 「ちょ、ちょっと!? 何するのよ! やめ、どこ触ってるのよ!」 鼻先や前足で美少女の身体をまさぐるモグラ。 当然ルイズが大人しくしているはずもないので、抵抗しようと暴れた結果色んなところがめくれたり露になったりするわけである。 「オイコラ。アレは何をしとるんじゃ」 特に押し迫った危険がないようなので静観しているジョセフと、少々首を傾げたギーシュ。 「んー。ヴェルダンデは危害を加えるつもりはないんだけれど……ルイズ! 何か宝石とか身に付けてないかい!」 「ほ、宝石!? それがどうかしたの!」 「ヴェルダンデは僕のために貴重な鉱石や宝石を見つけてきてくれるんだ! ルイズが何か高価な宝石をつけてるから、それに反応してるみたいだよ!」 ギーシュの言葉通り、右手の薬指にはまったルビーを見つけるとそれに鼻先を擦り付ける。 「この! 無礼なモグラね! これは姫様から頂いた指輪なのよ!」 必死にモグラからルビーを逃そうとするルイズと、宝石に追いすがろうとするヴェルダンデ。 これはどっちも引く気配がないと見たジョセフは、やれやれと苦笑しながら一人と一匹の間に割って入ろうとモグラと主人の間に手を差し入れた瞬間。 一陣の風が二人と一匹の間に舞い上がり、ジョセフごとヴェルダンデを吹き飛ばした。 ヴェルダンデは地面に転がって目をくるくる回し、ジョセフは腰をしたたかに打ちつけた。 「誰だッ!」「誰じゃッ!」 二人の男がそれぞれ激昂しながら叫ぶ。 すると朝もやの向こうから、一人の長身の貴族が歩いてくる。 羽帽子が目立つシルエットを見止めたジョセフは、レストランで頼んだ料理に髪の毛が入ってた時と同じくらいのしかめっ面を見せた。 「貴様ッ! 僕のヴェルダンデになんてことをッ!」 ギーシュは怒りに任せて薔薇の造花を振りかざしたが、羽帽子はそれよりも早く杖を引き抜いてギーシュの薔薇を吹き飛ばす。 辺りに舞い散る薔薇の花弁が地面に落ちもしないうちから、ゆっくりと言葉を並べ立てる。 「僕は敵じゃない。姫殿下より、君達に同行することを命じられた。任務が任務だけに、一部隊をつける訳にも行かない、と僕が指名されたというわけだ」 ジョセフとおおよそ同じくらいの背丈の貴族は、羽帽子を取って一礼した。 「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長。ワルド子爵だ」 文句を言おうとしたギーシュは、余りにも相手が悪いと口を噤まざるを得なかった。 トリステイン貴族の憧れである魔法衛士隊の隊長の実力は、ギーシュも十二分に理解している。 「すまないね、婚約者がモグラに襲われているのを見て見ぬ振りは出来なかったのでね」 「フン、剥がそうとしてたわしまで吹き飛ばすたぁいい度胸じゃなッ」 婚約者、という単語を耳にしたジョセフの機嫌が更に急降下していった。 ヴェルダンデから解放されたルイズは、立ち上がることも忘れてワルドを見つめていた。 「ワルド、様……」 ワルドは朗らかな笑みを浮かべながら、ルイズに駆け寄ると彼女を抱き上げた。 「久しぶりだな、ルイズ! 僕のルイズ! 相変わらず君は軽いね、まるで羽毛のようだ!」 「お……お久しぶりで御座います」 突然のことにも、悪い気分はしないのか頬を赤らめてうっすらと笑みを見せていた。 そのルイズの様子も、更にジョセフの機嫌をより一層悪くしていく。 「あ、あの、恥ずかしいですわ……」 「ああ、すまない! 僕の可愛らしい婚約者に久しぶりに会ったものでね、ついはしゃいでしまった! ところで、彼らが今回の仲間かい? 旅を共にするんだ、自己紹介と行こうか」 と、ルイズを下ろしてもう一度羽帽子を被り直したワルドは、ギーシュとジョセフに向き直った。 「え、ええと……ギーシュ・ド・グラモンと、使い魔のジョセフです」 ルイズがそれぞれを指差して紹介すれば、ギーシュは深々と頭を下げた。 ジョセフは不本意そのものな顔はしながらも、一応会釈くらいはした。 「御老人、キミがルイズの使い魔かい。人とは思わなかったな」 (ケッ! ガキにタメ口叩かれる覚えなぞないわいッ!) 学院の友人達と同じような口調と態度で話しかけられて、ジョセフの眉間には深々とした溝が刻み込まれた。 もし敬語で話しかけられても眉間の溝は同じ深さになっていただろう。 とどのつまり、嫌いな相手から何をどうされようが不愉快なことに変わりはない。 「僕の婚約者が世話になっているよ」 「そいつぁどーも」 ジョセフは目の前の男を軽く一瞥して品定めした。 色男なのは認めてやってもいい。だがどうにもいけすかん雰囲気がプンプンする。 こうやって向かい合えば、いやぁな目をしてるのが丸判りだ。 まるで仮面つけたまんま人と話してる様な……使い魔が人だろうと動物だろうとどうでもいい、という目だ。 しかも微笑みがすこぶる上手なのがより一層腹が立つ。この仮面の裏に隠した素顔がどんなものかは知らないが、この目からしてろくなモンじゃないだろう。NYにいた頃に、自分を騙そうと近づいてきた連中と似た、ゲロ以下の臭いが漂ってきそうだ。 ジョセフは舌打ちの代わりに、軽い溜息をつく。 ワルドはジョセフの様子を見て、何やら誤解したらしく朗らかな笑みのままジョセフの肩を叩いた。 「どうした? もしかしてアルビオンに行くのが怖いのか? キミはあの『土くれ』のフーケを捕らえたんだろ? その勇気と才覚があれば、姫殿下の任務も容易くこなせるさ!」 と、豪快に笑うワルドを前にしても、ジョセフの目はあくまで冷淡だった。 (ホリィを掻っ攫ったあの日本人だって、ホリィにあんな目を向けたこたァ一度もないッ) だがルイズはそんな彼の目の光に気付く様子もなく、どうにも落ち着きをなくしている。 ジョセフの口の中に、どうにも苦い味が広がるのを止める事は出来なかった。 ワルドが口笛を吹くと、朝もやの空からグリフォンが降り立ってきた。 ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手を差し伸べた。 「おいで、ルイズ」 ルイズはしばらく躊躇いながらも、意を決して差し伸べられた手を取った。 それを見るジョセフは、口の中に詰め込んだ苦虫を咀嚼して飲み込んでいるような表情を隠そうともしなかったが、それを見ていたのはギーシュだけであった。 「では諸君! いざ行かん、我らが姫殿下の御為に!」 杖を掲げて叫ぶワルドのグリフォンが駆け出していく。 グリフォン隊隊長の後ろを付いていくギーシュは感動の面持ちで馬を走らせていき、ジョセフも苛立ちを隠さないまま馬を進ませていく。 いけすかない、から信用ならない、に警戒レベルを上げた男を見上げながら、ジョセフは深く帽子を被り直した。 最初の目的地であるラ・ロシェールはトリステインから早馬で二日ほどの距離にある。 だが学院を出発してからというもの、ワルドはグリフォンをひたすら走り続けさせていた。 途中の駅で馬を二度ほど交換したが、グリフォンは疲労の欠片すら見せずに当初からの速度を崩さず空を駆け続けている。 「グリフォンっつーのはあんなにタフなモンなんか」 「……いくら幻獣だって行っても、あそこまでタフなのはそうはいないはずだよ」 馬は交換していてもまだ背筋を伸ばして騎乗しているジョセフと、少々疲労の色が濃くなってきたギーシュは、前方を大きく前に出るグリフォンを見上げて話していた。 ジョセフは波紋を全身に流している為に疲労も少ないが、ギーシュはそうもいかない。 ギーシュがへばっているために、駅に着くたびに幾らか波紋を流して疲れを軽減してはいるが、常に波紋を流せないのでちょくちょくへばってしまうのだ。 「つーか、急ぎの任務なのは判るんじゃが……あいつ、どうにもわしらを置いていこうとしてるような気配じゃな」 ワルドのグリフォンは隙あらばジョセフ達を置いてきぼりにしようとするかのように、速いペースで休みなく駆け続けている。 「……そりゃそうだ、直々に任務を請け負ったルイズと栄えあるグリフォン隊隊長がいれば、使い魔と立ち聞きしてただけの僕なんていてもいなくてもいいだろうからね」 時折ルイズが後ろを向くと、グリフォンは少々スピードを緩めるが、それも少し時間が経てばまたスピードは元に戻っていく。 「ルイズが心配してくれちゃーおるみたいじゃがな」 最初はぎこちなく見えたルイズの振る舞いも、段々と親しげなものになっているのが見て判る。 「それにしてもルイズも公爵家の生まれだってことをよく忘れられるけど、まさか婚約者がグリフォン隊の隊長殿だなんてね。やはりヴァリエールは名門だな」 感心したようなギーシュの言葉に、ジョセフの顔に再び苦味が走る。 グリフォンの上ではワルドが親しげにルイズと会話するだけではなく、時折馴れ馴れしく肩を抱いたり手を繋いだりしている。 可愛い孫娘が他の男と親しげにしてるだけでも腹立たしいのに、その男はあまりにも信用ならない雰囲気を漂わせている。 しかもルイズがそれに微塵も気付いていないというのが怒りに拍車をかける。 ここでルイズに「あの男は信用ならんから付き合うな」と言っても聞いてくれないことは請け合いである。 ああいう状態の少女に年長者が何を言っても無駄なのは十分理解している。 だがそれで諦めがつけられるか、と言われれば付けられる筈がない。ジョセフ・ジョースターは年のワリに若いとよく言われるが、精神年齢は波紋を流さずともかなり若かった。 「おやジョジョ。何やら剣呑な目つきだけれど……やはりあれか。婚約者と言えども敬愛するご主人様を取られるのはやはりシャクかい? それとも目に入れても痛くない孫娘を他の男に持っていかれるのは頭にくるのかい?」 ジョセフがグリフォンを見上げる視線の質に気付いたギーシュが、にまにまと笑った。 「あん?」 ぎろり、と睨む視線にも竦む気配さえ見せずに、なおも調子に乗って言葉を続ける。 「もしかして、ヤキモチかい? ご主人様に適わぬ愛を抱いたのかい!? 忠告しておくけれど、身分違いの恋は昔から悲劇の種って相場が決まってるんだぜ?」 「やかましいわい。あんまり過ぎた口叩いとるとお前の彼女にオイタをバラすぞ」 「なんだい、あれから僕はモンモランシーに知られて困るようなことは」 「四日前。夜の中庭。栗毛のポニーテール」 「すまなかったジョジョ、もう二度とそんな口はきかないよ」 お口にチャックをしたギーシュから視線を外すと、ルイズが自分を見ていることに気付く。 軽く結んだ唇を開けないまま、ひとまずひらりと手を振って見せた。 馬を何度も換え、休みなく走り通した一行は出発した夜のうちにラ・ロシェールの入り口へ到達した。 早馬でも二日かかる距離を一日足らずで踏破したという計算になる。 だが港町と聞いていたのだが、ここは明らかに海とは無縁な険しい山々に囲まれた山道である。潮の匂いなど微塵も漂ってこない。 それからまたしばらく険しい岩山の間を進むと、峡谷に囲まれた街が見える。 街道沿いに岩を穿って建てられた建物が並ぶ、港町と言う単語からは縁遠い街並みだった。 「ああ、やっと着いた! すごい強行軍だった」 ギーシュの言葉に、ジョセフは怪訝そうにラ・ロシェールを見た。 「ここが港町か? どう見たって山ん中じゃあないか」 「なんだいジョジョ、アルビオンを知らないのかい?」 休憩のたびに波紋を受けたとは言え、疲れは隠せない。 しかし有名なアルビオンを知らない、とのたまうジョセフに、ギーシュは一種の優越感めいたものを滲ませながら言葉を掛ける。 「見たことも聞いたこともないからの」 「それはないだろうジョジョ!」 ジョセフが異世界から来たということを知っているのはルイズとオスマンだけである。 この世界の常識と非常識の区別さえあまり明確ではないのは仕方のないことだった。 「知らんモンはしょうがないわい」 と、この旅の恒例行事になりつつある老人と青年と実りのない口論が再び始まろうとしたその時。 不意にジョセフ達が駆る馬目掛けて、煌々と燃え盛る松明が何本も投げ付けられた。 峡谷を照らす炎に、馬達は恐れおののいて前足を高々と上げようとしたが、まるで彫像のように馬達はぴたりと足を止めた。 「ギーシュッ! 盾を錬金するんじゃッ!!」 松明が投げ込まれた瞬間に、ジョセフは自分の馬に波紋を流して動きを止め、続いてギーシュの馬にも地面を這わせたハーミットパープルで波紋を流し込んで動きを止めていた。 そのため、驚いた馬から振り落とされるという事態を避ける事は出来た。 ジョセフ自身は素早く馬から降りつつ、反発する波紋を流した馬の陰に隠れ、馬を盾代わりにしていた。 「え、あ!?」 何が起こったのか判らずあたふたしているだけのギーシュと馬の陰に隠れたジョセフに目掛け、何本もの矢が夜闇を切り裂いて降り注ぐ。 「ギーシュ!!」 風を引き裂いて降り注ぐ矢を波紋やハーミットパープルでは防ぐには、少し距離が遠い。 すわ、ギーシュが矢の針鼠になろうかと言うのを救ったのは、突然に現れた小さな竜巻だった。 竜巻は降り注ぐ矢を全て打ち落とし、呆然と馬に乗ったままのギーシュにワルドが声を投げた。 「大丈夫か!」 二人に飛ぶ声に、ジョセフは素早く身を走らせてギーシュを馬から引き摺り下ろし、今度はギーシュの馬に波紋を流して即席の盾とした。 「こっちは大丈夫じゃ!」 チ、と舌打ちしたジョセフは、腰に下げたデルフリンガーを鞘から抜いて構える。 既に戦闘態勢に入っていたジョセフの手袋の中ではルーンが輝いていたが、不自由な鞘から抜け出してやっと喋れる流れとなったデルフは、安堵したかのような声を漏らした。 「ひでえぜ相棒、たまにゃ鞘から抜いてくれよ。退屈すぎて死ぬかと思ったぜ」 「すまんな、すっかり忘れてたわい」 軽口に軽口で返しながらも、矢の飛んできた崖を見上げる。 奇襲が失敗したからか、今は向こうも様子見しているらしく矢が飛んでくる気配は見られない。 「ななななななんだ、夜盗か!? 山賊か!? それともアルビオンの貴族連中か!?」 錯乱して薔薇の造花を無闇矢鱈に振り回しているギーシュの頭を軽く小突いて「落ち着け」と言うのはジョセフの役目である。 「メイジがおるんなら松明や矢なんてまどろっこしいモン使わんじゃろ。と言うよりこっちの夜盗や山賊はグリフォンに乗ったのを襲うほど肝が据わってるんか?」 口に出して考えてみて、その可能性は相当に低いと考える。ハルケギニアでメイジと平民の戦力差と言えば、剣や槍だけで戦車と戦おうと言う事と同義語である。 ただ馬に乗ってるだけなら間違えて襲うかもしれないが、どう見ても見間違えの出来ないグリフォンが月明かりを浴びて空を飛んでいる。 あれに構わず襲い掛かるとなればよほどの自信があるか、それとも戦力差も理解できない本物の馬鹿か。むしろそれよりは、貴族派の手の者と言う可能性が高いだろう。 「まァあれじゃ、あいつらブッちめんとならんからな! ギーシュ、ワルキューレでまずあの炎を消すぞッ!」 「あ、ああ!」 ギーシュが慌てて薔薇を振ると、一枚の花弁が両手持ちの盾を掲げたワルキューレになる。 盾を持ったワルキューレが身を挺し、峡谷を照らし出す松明を消しに行くのを見届けながら、続いてもう一体のワルキューレを錬金する。 そのワルキューレは数日前にジョセフと相談の上でデザインされた、新たな形態のワルキューレ。 巨大なボーガンを捧げ持つように構える両腕を持ち、青銅の弾丸として取り外せる一個4キロ前後の球形で形成された胴体を持つワルキューレ。 ジョセフの求めた性能とギーシュの造詣センスが結実した、芸術的な兵器と称していい一品であった。 会心の出来とも言えるこのワルキューレを見上げ、ギーシュは満足げに頷いた。 「フフフフフ。名前を考えてきたんだ。このギーシュ・ド・グラモンがゴッドファーザーになってやるッ! そうだな……『トリステインに吹く旋風!』という意味の『ヌーベル・ワルキューレ』というのはどうかな!」 「フランス語かドイツ語かどっちかにせーよ」 ギーシュ特有の微妙なネーミングセンスに呆れながらも、腰に結わえ付けていた弦を伸ばし、ワルキューレの力を使ってボーガンに装着させる。 身を挺してワルキューレが松明の炎を消したのを見届けると、ジョセフはヌーベルワルキューレの胴体から弾丸を一つ取り、ボーガンに装填する。 人間の手ではとても弦を引くことすら出来ないボーガンも、ワルキューレの腕力を以ってすれば容易く引き絞ることが出来る。 ジョセフはワルキューレに支えさせたボーガンの狙いを定めると、月明かりの下で僅かに人影が動いた崖目掛けて引き金を引いた。 記念すべき最初の射撃は、僅かに狙いを逸らして賊の立つ足元の崖に命中したが、とても4キロの砲弾とは思えないほどの破壊力で崖を揺らす。 あまりの破壊力に、賊達が狼狽している様子が伝わってくるほどだ。 グリフォンを飛ばせているワルドも、ボーガンの射線からやや離れるように距離をとった。 「ほうほう、さすがは『青銅』のギーシュじゃな。破壊力はバツグンじゃッ!」 「あ、は、はははははっ! そ、そりゃそうさ! 僕の魔法とジョジョのアイディアが結実したヌーベル・ワルキューレならあのくらい出来なくちゃ困るからねっ!」 自分の予想を遥かに超えた破壊力に呆気にとられていたギーシュが、ジョセフの言葉に慌てて相槌を打つ。 まともに食らえば人間なら即死する威力を持つボーガンだが、それをガンダールヴであるジョセフが使えば立派な攻城兵器クラスの殺傷能力を持つことになる。 (それに錬金したばかりの金属は魔力の残りカスがこもっとるからなッ! 魔力に波紋を留まらせてブチ込めるから一石二鳥じゃわいッ) ギーシュとの決闘を経てから、様々な実験を繰り返して得た知識である。錬金した金属に波紋が留まるだけの魔力が残る時間はさほど長くはないが、短い時間だけでもいちいち油を塗らなくてもいいというのは大きなアドバンテージになる。 「うっしゃッ! んじゃさくさくっとやッちまうかッ!」 鴨が葱背負って罠にかかったと思っていた賊達も、鴨は自分達を殺しうる狩猟者らしいと気付いたらしく、慌てて一斉に矢を撃ち続けるが、反発する波紋を流され続けている馬は鏃さえ弾くほどの強固な壁としてジョセフとギーシュを保護する。 照準を修正して放たれた第二射も、賊の足元の崖を揺らすだけに終わった。 だがまるで大砲から放たれた砲弾のように地響きと土煙を巻き起こす砲弾は、命の危険を警告するには十分すぎる役割を果たした。 次には直撃するかもしれない、と恐怖を植えつけるのに十分すぎる光景を見た賊達は、命惜しさに一斉に遁走をかけようとした……が。 上空から大きな羽ばたきが聞こえ、その直後に巻き起こった竜巻の網にかかった賊達は、文字通りの一網打尽となって崖から叩き落された。 決して低くもない崖から地面に叩き付けられた賊達は今すぐ逃げ出すことも出来ないまま、痛みに呻くことしか出来なかった。 「風の魔法じゃないか」 グリフォンに跨ったままのワルドが感心したように呟けば、月をバックにして一頭の竜が街道へと降り立ってくる。 その姿を見たルイズは、驚きの声を上げた。 「シルフィード!」 ルイズの言う通り、それは確かにタバサの使い魔の風竜だった。 地面に降りたシルフィードの背から赤毛の少女が飛び降りると、ばさりと髪をかき上げた。 「はーい、お待たせー」 ルイズもグリフォンから飛び降りてから、キュルケに怒鳴りつけた。 「はーいお待たせーじゃないわよッ! 何しに来てんのよアンタッ!」 「助けに来て上げたんじゃないの。あんな朝早くから馬に乗って出かけようとしてるんだから、これはこの『微熱』のキュルケが助太刀に向かわなくちゃならない場面じゃない?」 シルフィードの上のタバサは、パジャマ姿にナイトキャップという出で立ちだった。 間違いなく無理矢理起こされて追い掛けさせられたのが明白な彼女は、それでも本に視線を落として読書に耽っていた。 「ツェルプストー、私達はお忍びでここに来てるのよ。そんな大きな竜なんか連れてこられたら意味ないじゃないッ!」 「だったら先にそう言いなさいよ。本当に気が利かないわねヴァリエール」 「言ったらお忍びの意味がないじゃないッ!」 「はいはい、そんなにきゃんきゃん鳴かないの。貴方達を襲った連中を捕まえたんだから、礼の一つや二つ言ってもらいたいものだわね?」 「別にアンタ達が来なくても私達だけで退治出来てたわよッ!」 二人の口論をよそに、地面に叩きつけられて身動きも取れない男達は一向に罵声を投げかけ続けている。 ギーシュはワルキューレを新たに用意し、男達に尋問を始めた。 「まあまあ、私達友達じゃない。苦しい時は互いに苦難を分かち合うものよ」 誰が友達よ、とわめくルイズをよそに、キュルケはグリフォンに跨ったままのワルドにじりじりと歩み寄っていく。 それからいつものように言い寄ろうとしたキュルケだったが、ワルドにけんもほろろに扱われ、しかもルイズの婚約者だということを知るとすぐさま興味を失って鼻を鳴らした。 (何よ、つまんない男ッ! 美女をあんな氷みたいな目で見るだなんて不躾だわッ!) 自分は不躾でないと自負するキュルケは、内心の思いをいちいち口に出しはしなかった。 それからジョセフの方を見ると、彼はすぐに視線に気付いてニカリと普段通りの笑みを見せて手を振った。 ワルドの冷たい目の後で、ジョセフのにこやかな笑みを受ければ普段の三割増くらいに眩く見える。 本当のダンディとはジョジョの事を言うのだわ、とキュルケは思い直した。 体付きだってたくましいしおひげもワイルドだしいい男だし。同じエッセンスだったら人間味のある方がいいに決まってるわッ! と、今度はジョセフに駆け寄って抱きついた。 「ああんごめんなさいダーリン、本当はダーリンに会いたくて駆け付けたの!」 「おおそうかそうか、二人とも来てくれて本当に助かったぞ」 むぎゅ、と豊満な乳房をジョセフの胸板に押し付けながら、横目でちらりとルイズを見る。 いつもならこの辺りで自分に怒鳴りつけてくるはずだが、ルイズは何か言いたそうな顔はしているものの、ワルドが肩に手を置いて留めている。 ちら、とジョセフの顔を伺えば、そんな様子の二人を見て実に不愉快そうな顔をしている。 これはヤキモチというヤツかしら? と思えば、ジョセフが年甲斐もなく漂わせたいじらしい雰囲気に、ときめいた胸に情熱の炎を燃え上がらせた。 かしましく騒ぐキュルケをよそに、男達を尋問していたギーシュが戻ってくる。 「子爵、あいつらはただの物取りだと言ってます」 「ふうむ。ならば捨て置こう、そんな些事にかかずらっている場合ではない」 二人のやり取りを聞いたジョセフは、突然腰を抑えて蹲った。 「あ、アイチチチチチッ! こ、腰がッ! やっべ、朝に打ったしさっきのアレで腰やッちまったかもしれんッ!」 「え!? ちょっと、大丈夫なのダーリン!」 「おい、どうしたんだいジョジョ!」 キュルケとギーシュが蹲ったジョセフに駆け寄るが、ジョセフは脂汗を浮かべながらも心配するなと言うように二人に手を翳した。 「あー、すまんすまん。ちっとここで休憩してから追いつくから、先に行っといてくれんか。なぁに、タバサの風竜に乗ればすぐ追いつくじゃろ」 シルフィードに乗って読書を続けていたタバサは、ジョセフの言葉にこくりと頷いた。 ワルドはジョセフの言葉に、ルイズとギーシュを見やる。 「ではラ・ロシェールで宿を取るから、キミは出来るだけ早く追いついてきてくれ。朝一番の便でアルビオンに渡る」 とジョセフに言い残し、心配げにおろおろするルイズを抱き抱えてグリフォンに乗った。 そしてギーシュも、やや心配そうにしながらもワルドの後ろについてラ・ロシェールへと走り出した。 そこに残ったジョセフとキュルケとタバサとシルフィードは、見る見るうちに夜闇に姿を消す一行の背を見送る。 時間を置かずに一行の姿が見えなくなった頃、ジョセフは何事もなく立ち上がった。 「え? ダーリン、腰はどうしたの?」 「あんなモン仮病じゃよ仮病。まさかあんなわざとらしい仮病に騙されてくれるとは思わんかったがな」 ジョセフが立ち上がったのを見ると、タバサは本から視線を上げた。 「メイジもいないのにあのように立ち向かう物取りは存在自体が不自然」 タバサの言葉に、ジョセフは我が意を得たりと頷き、キュルケも「そう言えばそうよね」と納得した。 「ギーシュはまあボンボンじゃからしょうがないかなとも思うんじゃが、ワルドがそれをあっさりと信じるっつーのも大概不自然じゃろ。しかも相手はグリフォンに乗っとるわけじゃからな。せめてグリフォンはスルーせんと死ぬじゃろ、高さのアドバンテージがなくなるしな」 じろり、と未だ動けないままの男達を眺めたジョセフは、帽子のつばを親指で押し上げる。 「なんか切り札でもあるんかと思ってたんじゃが、二発ほどボーガンをぶちこまれた辺りで逃げ出そうとしよったからな。切り札があるわけでもないのにわしらにケンカ売ってきた連中がただの物取りだなんて信じられるワケがない」 んんー、と大きく伸びをしたジョセフは、改めてデルフリンガーを抜いた。 「おいおい相棒、せっかくの俺っちをもうちょっと使ってくれよ。いくら温厚で知られる俺っちでもあんまり出番がないとスト起こすぜ?」 カラカラと笑うデルフリンガーを、ジョセフはニヤリと笑って曲げた指の背で叩いた。 「まあまあそういうな。ボーガンに番えられて空の散歩なんぞしたくないじゃろが」 「そいつぁ全くだな!」 剣を抜いたまま悠然と歩み寄ってくるジョセフに、男達はありったけの罵詈雑言を投げ付ける。 いくら武器があるとは言え、魔法のようなボーガンを持っていない図体のでかい老人など傭兵達にとっては脅威の対象に成り得ないのである。 「おっしゃ、もう一度聞くとしようか。お前ら本当に物取りか?」 「何度も同じこと言わせんなクソジジイ、俺達が物取りでなかったら何だって言うんだよ!」 紋切り型の憎まれ口にジョセフは頓着もせず、ハーミットパープルを一人の男に伸ばす。 するとデルフリンガーの鞘口から男の言葉が迸る。 「物取りがメイジにケンカ売るわきゃねーだろこのクソ貴族どもがッ!」 突然聞こえた仲間の告白に、男達が一斉に声の主を見るが、その男は顔面蒼白にして「言ってねェ! 俺はなんにも言ってねェぞ!?」と凄まじい勢いで首を振った。 「なるほど。ではなんでわしらを襲った?」 男はせめてもの抵抗とばかりに口を閉じるが、それは無駄な足掻きでしかなかった。 「美人の女メイジと仮面の男に依頼されたんだよ、馬に乗ったメイジどもがやってくるから襲って殺せってな!」 「ほーほーほーほー。そいつァ聞き捨てならん話じゃのー。他に何を依頼された? ついでに言っておくが、わしの魔法は人の心を読むことが出来るんじゃ。正直に言ったら命だけは助けてやってもいいかもなッ!」 そこからは傭兵達の大暴露大会となった。 この依頼をした女メイジと仮面の男の外見と特徴を逐一聞いた三人は、仮面はともかく女のほうはおそらくフーケだろうと目星を付けた。 死刑か遠島前提で牢獄に叩き込まれたはずのフーケがこんなに早く脱獄した事と、自分達がここに来ることを知った上で傭兵を雇ったという事は、王宮内に間諜が少なからずいる上、王女に近い筋にも入り込まれているということである。 「ねえダーリン、話には聞いてたけどトリステイン王宮ってかなり腐ってるわね」 「わしに言わんとってくれ、ついこないだここに来たばかりなんじゃから」 ゲルマニア出身のキュルケとイギリス出身のジョセフは呆れを隠そうともしなかった。 しかも雇い主は言い値で彼らを雇い、前金だけでもかなりの金額を受け取ったことを知ったジョセフは、迷惑料として傭兵達の有り金を全て分捕った。 傭兵達からあらかた事情聴取を終えたジョセフとキュルケは、暗澹たる現状に嘆息した。 「ねえダーリン、ここまで向こうに何もかもバレてるのってお忍びって言うの?」 「一般的には言わんよな」 この分だと、襲撃が失敗したのも向こうには筒抜けだろう。だが相手の心理を考えるに、二重の備えはしていないと踏む。 この峡谷の襲撃で確実に自分達を殺す為に戦力を集中させていただろう。そして向こうは、こちらを侮っていた。 メイジ達を襲撃するというのに、傭兵達だけで襲撃させたというのが何よりの証拠だ。 成功すれば儲けもの、失敗しても被害がない。 それ以上にジョセフの中では、心に根強く根付いていた疑念が確信の花を咲かせていた。 峡谷に弓を射掛けさせた依頼主……フーケはジョセフやルイズに怨恨があるのはどうあっても明白だ。 空を駆けるグリフォンより、峡谷で動きが制限されるジョセフの方が殺しやすいのは確かだ。 しかもグリフォンに乗っているのは風の魔法に長けたワルドである。傭兵が撃って来た矢など風が軽く撃ち落させるだろう。 だが矢が多ければ、竜巻を展開し損ねた、ということにして矢を防げなかったとしてもワルドに手落ちがあるということにはならない。平民が平民の矢で殺されたところで、問題になるはずがない。使い魔の力量不足、で終わる話である。 それがボーガンのあまりの威力で傭兵達が命惜しさに逃げ出そうとしたところを、更なるメイジの乱入でこんな結果になったという訳だ。 完全な証拠を見出した訳ではないが、ワルドが裏切り者でない可能性は非常に低い、とジョセフは踏んでいた。 もし自分やギーシュが乗馬に疲れて置いていかれれば、あの峡谷で待ち伏せした傭兵達に針鼠にさせられる計画が透けて見えた。 早馬で二日もかかる距離を一日で無理矢理踏破させたのは、ジョセフ達を疲れさせて置いてきぼりにしようとしたのではないか。 しかし二人が懸命についてきたから、傭兵達はグリフォンに乗ったメイジのいる一行を襲う物取りを演じなければならない、間抜けな大根役者になってしまった。 そう考えると辻褄が合う。 「キュルケ、タバサ。どうやらわしらは首根っこにナイフを突き付けられとるようだぞ」 ジョセフは肩を竦め、二人に向き直る。その身振りは「大人しくここで帰っとけ、後はわしが何とかする」と雄弁に語っていた。 だがキュルケもタバサも、帰ろうとする様子は全くなかった。 「何言ってるのよダーリン。こんなことくらいで帰るなら、フーケ討伐になんて付き合ったりしないわよ」 恐れも何もない目で、殊更妖艶に笑ってみせるキュルケ。 タバサもページに栞を挟んで、こくりと頷いた。 「それにダーリン、ツェルプストーの女は死地に向かう友人をハンカチ振って見送るだけの薄情者、だなんて醜聞を立てられちゃたまったものじゃないもの。私達は、ただ単に物見遊山でラ・ロシェールに行くだけ。 ゼロのルイズとそのお仲間が行く先がたまたま一緒だからって、私達が行き先を変える必要なんてどこにもありはしないわ。そうでしょう?」 ジョセフはキュルケの堂々たる宣言に、ヒュウと口笛を吹いた。 「キュルケもタバサも、二人ともホントーにいい女じゃな」 緩く腕組みして笑うジョセフに、キュルケは満足げに頷いた。 「それはそうよ、ツェルプストーの女はハルケギニア一の女だもの。タバサも私と同じくらいだけれど。ヴァリエールに飽きたら、いつでも私の胸に飛び込んできていいのよ」 両腕で両胸を挟み込んで、より胸の谷間を扇情的に主張する。 ジョセフは当然口元をいやらしく緩ませるが、ごほん、と大きく咳払いした。 「うちの主人が独り立ちするようになったら、考えさせてもらうわい」 「あんまり長くは待てないわよ」 冗談っぽくめかして、ジョセフとキュルケは馬に乗り、タバサはシルフィードに乗る。 出発する前にたっぷり波紋を流した馬は、勢いよく駆け出し、まだ身動きの取れない傭兵達の群れに突っ込み、哀れに命乞いする彼らを盛大に踏みにじってラ・ロシェールへ駆ける。 次に考えられる襲撃に備え、少しでも次に来る手勢を減らそうという腹である。次回の仕事どころか、これから傭兵稼業を再開するのも難しいのかもしれないが。 馬に乗る二人は必要以上に陽気に馬を走らせ、タバサは月明かりの下で読書を再開する。 三人の向かう先では、ラ・ロシェールが怪しく街の光を輝かせているように、見えた。 To Be Contined →